XVD

XVD (eXtended-play Video Disc)とは

XVD（エックス・ブイ・ディー）は、アメリカのDigitalStream社（現XVD Corporation）によって開発された動画圧縮技術です。この技術は、独自のコンテナ形式であるVGM、動画コーデックのVGM Video (VT2k)、音声コーデックのVGM Audio (Muzip4) で構成されています。

圧縮技術の特徴

XVDの最大の特徴は、その高い圧縮率にあります。独自の圧縮アルゴリズムにより、従来の形式と比較して数分の一という高い圧縮率を実現しています。これにより、S-VHS程度の画質（ビットレート約700kbps）の動画をCD1枚（650MB）に約2時間、片面一層DVD（4.7GB）には約14時間も記録することができます。これは、他の動画形式と比較して非常に優れた圧縮能力です。

また、XVDは高速な圧縮スピードも特徴の一つです。ソフトウェアエンコードにおいても、MPEG-4系のDivXを超える圧縮速度を誇ります。画質面では、DivXなどに見られるブロックノイズが少ない一方で、若干ぼやける傾向がある点が特徴です。

再生方法

XVD形式の動画を再生するには、専用のXVD Playerを使用するか、XVD Playerをインストールする際に同時にインストールされる「DirectShow Filter」を利用する必要があります。これにより、Windows Media PlayerやGOM Playerなどの一般的なメディアプレーヤーで再生が可能になります。

変換について

XVD形式のファイルは、YouTubeなどの動画投稿サイトでは直接対応していません。したがって、動画を投稿する際には、別の形式に変換する必要があります。変換には、B's Recorderのmovie Folioなどのソフトウェアが利用できます。

採用事例

ハードウェア

XVDコーデックは、早期からTexas Instruments社製のDSPに移植され、多様な製品開発に成功しました。特に、BHA社の「XVD CamCast」シリーズは、小型かつ高性能なハードウェアIPエンコーダとして、放送業界をはじめ様々な分野で注目されました。このシリーズは、高画質（特に1Mbps以下のエンコードビットレートでの画質）、低遅延、そして手のひらサイズの小型・省電力設計を強みとしています。

アイ・オー・データ機器からは、2003年6月にPC用のXVD対応ビデオキャプチャーカード「GV-XVD/PCI」が発売されました。また、2004年5月にはXVD対応TVチューナー付きビデオキャプチャーカード「GB-MVP/XVD」も発売されました。これらの製品は専用のエンコードチップを搭載しており、CPUを使わずに高速な処理が可能で、ビデオキャプチャ機能も備えていたため、直接XVD形式に変換できました。

ソフトウェア

日本では、CD/DVD書き込みソフト「B's Recorder」を販売するBHA社がXVD関連のソフトウェアを販売していましたが、2007年11月にソフトの商標権と著作権がソースネクストに譲渡され、以降はソースネクストが販売を行っています。

ライブ中継

近年、インターネット回線を利用した安価なライブ中継が注目されていますが、XVDのハードウェアエンコーダを使った中継は、画質・音質の面で高い評価を得ています。特に、BフレッツやADSLなどの一般インターネット回線でも安定した伝送が可能であり、ハードウェア自体が小型・省スペース設計であるため、小規模な会場での利用に非常に適しています。

日本国内では、株式会社キャムキャスト７と株式会社ライブスタッフがXVDを使った高画質IP中継サービスを提供しています。

外部リンク

株式会社キャムキャスト７
XVD Corporation（英語）
XVDとは？～株式会社ライブスタッフ
MPEGラボ 第16回 新登場の動画圧縮方式XVDの仕組みを解き明かす
* BHA、CD-RにDVD画質で2時間記録できる新圧縮方式「XVD」（Impress Watchの記事 2003年4月24日）

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