YA-9 (航空機)

YA-9攻撃機の概要

YA-9は、ノースロップ社がアメリカ空軍向けに開発した攻撃機で、主に近接航空支援任務に特化した設計がなされています。この機体は、同じくノースロップが開発したA-10と競争する形で試作されましたが、最終的にA-10が正式に採用されたため、YA-9の量産は行われませんでした。

開発背景

1960年代、アメリカ空軍は特に対空砲火の脅威が高い地域において使用される航空機を求めていました。この計画は「A-X計画」と呼ばれ、前線での作戦に耐えうるよう、高い防弾性能と簡易な整備性が重視されました。さらに、地上攻撃用の大口径機関砲を搭載可能であることも求められましたが、全天候能力はそれほど重視されませんでした。このため、機体は目視による昼間の攻撃に特化することが想定されました。

ノースロップとフェアチャイルドの両社が設計案を提案し、1970年12月に双方の案が採用され、YA-9とYA-10の試作機が製造されることとなりました。YA-9は1972年に初飛行を果たしましたが、そのデザインは非常に保守的であり、性能も十分でしたが、YA-10の防弾性能や安定性が更に優れていたため、最終的にはYA-10が選定されました。これによりYA-9の開発は中止され、製造された2機の試作機は関係機関で試験された後、それぞれ異なる基地で保存されることとなりました。

機体の設計

YA-9は、中翼配置・直線翼の主翼を持ち、主翼の根本にジェットエンジンが2基搭載されています。この設計は、同目的で後に開発されたソビエトの攻撃機、スホーイ Su-25と似た形状を持っています。水平尾翼は垂直尾翼の中ほどに配置され、主翼下には10か所のパイロンが設けられ、武装搭載能力が高い設計となっています。

試作機に搭載されたのはM61 20mmガトリング砲でしたが、実際の制式採用機ではGAU-8 30mmガトリング砲、あるいはGAU-9 30mmリヴォルバーカノンの搭載が検討されていました。

主な性能

• - 全長: 16.3m
• - 全幅: 17.4m
• - 全高: 5.4m
• - エンジン: ライカミングYF-102ターボファンエンジン（33.4kN）×2
• - 乗員: 1名
• - 武装: M61 20mm機関砲1門、最大8,300 kgの爆弾等

このYA-9の試作機2機は、現在もそれぞれエドワーズ空軍基地とマーチ空軍基地博物館にて展示されています。YA-9は当時の航空機技術と戦術の進化を示す重要な機体として記憶されています。また、YA-9の開発コンペティションの背景には、A-10サンダーボルトIIやスホーイSu-25といった他の近接航空支援機との競争があったことも付け加えておきます。

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