YURA YURA

YURA YURA：WANDSの新たな境地

2021年11月3日、WANDSの19枚目のシングル「YURA YURA」がリリースされました。読売テレビ・日本テレビ系アニメ『名探偵コナン』のオープニングテーマに起用されたこの楽曲は、オリコン週間シングルランキングで最高位9位を獲得するなど、大きな話題を呼びました。

楽曲の背景と制作過程

「YURA YURA」は、バラード、ロック、そしてダンスビートという三つの要素が見事に融合した楽曲です。作曲を手掛けた柴崎浩は、タイアップ作品制作において複数の候補曲を提出するという手法を取っており、「YURA YURA」はその中から選ばれた一曲でした。既存の楽曲をベースに、『名探偵コナン』の世界観に合うようアレンジが施されています。

柴崎は、楽曲制作において「バラードとロックと踊れるリズムが合わさったイメージ」を念頭に置いていたと語っています。イントロのキメやサビの長さ、ドラムとベースのグルーヴ感など、細部にわたってこだわりが感じられます。一方、ボーカルの上原大史はデモ音源を聴いた時点で「めちゃカッコいい」と感じ、「『名探偵コナン』に合いそう」という確信を持ったそうです。

アレンジにおいては、特に英詞のセクションが大きく変更されました。当初はボーカルとギターソロが重なっていましたが、プロデューサーの提案もあり、最終的には両者を分ける形となりました。ギターサウンドにはワウやディストーションといったエフェクトが使用され、ギターソロにはコーラスエフェクトが施されています。また、英詞セクション後のエレクトリック[[ピアノ]]とボーカルのみのパートは、上原の提案によるものです。盛り上がりを見せる楽器パートに合わせ、歌の盛り上がりも意識したアレンジとなっています。

歌詞に込められた想い

歌詞は、最初のワンコーラスと途中の英詞の部分から制作されました。デモを聴いた印象から、社会人の背中を押すような内容にしようと決められたそうです。上原は、歌詞に自身の経験を投影しています。新宿でアルバイトをしていた頃の、コンクリートジャングルでの精神的な疲労感や、煮詰まった日々からの葛藤が表現されているのです。タイトルである「YURA YURA」は、サビを作曲した段階からアルファベット表記で考えており、最終的にこのタイトルに決定したそうです。

カップリング曲

カップリング曲には、名探偵コナン盤に「MILLION MILES AWAY」の再録バージョン、通常盤に「Jumpin' Jack Boy」の再録バージョンが収録されています。「MILLION MILES AWAY」は、柴崎の提案により収録されました。ファンからのカバー要望が多かったこと、そして木村真也の楽曲であることから、この楽曲が選ばれました。基本的なアレンジはそのままに、サウンドの質感を現代風にアップデートしています。ピアノは打ち込みですが、ライブでの演奏をイメージして制作されたそうです。

「Jumpin' Jack Boy」は、配信ライブで演奏された楽曲です。オリジナル版には当時の時代性が強く反映されているため、カバーアレンジには苦慮したそうです。結果、イントロは全く異なるフレーズとなり、オリジナルのイントロはアウトロとして使用されました。

チャート成績と反響

「YURA YURA」は発売初週に高い売上を記録し、オリコン週間シングルランキングで9位、Billboard Japan Top Singles Salesで11位を獲得しました。また、令和3年アニソン大賞では中間発表で1位を獲得するなど、高い人気を得ています。

まとめ

「YURA YURA」は、WANDSの音楽性と『名探偵コナン』の世界観が絶妙に融合した、完成度の高いシングルと言えるでしょう。バラード、ロック、ダンスビートの融合、社会人の心情を反映した歌詞、そして緻密なアレンジは、多くのリスナーの心を掴みました。この楽曲は、WANDSの新たな境地を開拓しただけでなく、アニメソング史においても重要な一曲となるでしょう。

もう一度検索