Z-8 (航空機)

Z-8ヘリコプターの概要

Z-8（Zhisheng-8）は、中国の昌河飛機工業公司によって製造された大型ヘリコプターで、フランスのユーロコプターSA 321を基にしています。この機体は1970年代にフランスから購入した技術を活用し、異なる用途に対応できる設計がされています。特に中国にとって中規模ヘリコプターを初めて製造する大きな機会でした。

技術的特性

Z-8は三発機で、3基のWZ-6ターボシャフトエンジンを装備しています。これにより、巡航速度は248 km/h、航続距離は最大1,400 kmに達することが可能です。武装面では、A244やET52の短魚雷のほか、YJ-83K空対艦ミサイルを搭載することも可能であり、フランス製のHS-12吊下ソナーも装備されています。

バリエーション

Z-8A

輸送モデルのZ-8Aは、少数が配備されており、サイドフロートやノーズレーダーが装備されています。初飛行は1955年とされるものの、運用面ではメンテナンスが困難で、失速の危険性もあり、中国人民解放軍からの評価は良くありませんでした。そのため、現在は後継機のZ-18が主力として用いられています。

Z-8B

Z-8BはZ-8Aの改良版で、フロートが取り除かれ、グラスコックピットが導入されています。更に、最近では海上での生存性を向上させるため、再びフロートが装備された機体も確認されています。

Z-8F

カナダ製のプラット・アンド・ホイットニー社製PT6エンジンを搭載したモデルで、さらなる性能向上を図っています。

Z-8K/KA

このモデルは、中国人民解放軍海軍向けの捜索救助機です。FLIR（前方赤外線探知装置）、サーチライト、ホイスト、フレアディスペンサーを備えており、救助活動に特化した設計がなされています。

Z-8S

Z-8K/KAを基にFLIRやアビオニクスを改良したモデルで、より高性能な目視誘導が可能です。

Z-8JA & Z-8JH

これらは海軍向けのモデルで、緊急時に水面への着陸が可能なZ-8JA、医療機器を備えた捜索救助仕様のZ-8JHがあります。

Z-8G

陸軍向けに設計されたZ-8Gは、高地での作戦能力を評価されており、PT6B-67Aターボシャフトエンジンを搭載しています。Mi-17に似た機首形状で、飛行中の抗力を低減することが目的です。また、GPSアンテナを装備し、長距離通信も実現しています。

一部の機体では装甲板を取り付け、センサー類も充実しています。

Z-8L & Z-8GD

輸送モデルのZ-8Lは、燃料タンクを装備して貨物容積を増加しています。Z-8GDは電子戦機仕様で、両翼に円筒形のアンテナを装備しており、レーダーを撤去しています。

仕様

• - 乗員: 2名
• - 定員: 27名の兵士または15名の担架
• - 全長: 23m
• - 全幅: 5.2m
• - 全高: 6.76m
• - メインローター枚数: 6枚
• - テイルローター枚数: 4枚
• - メインローター直径: 18.9m
• - テイルローター直径: 4m
• - 燃料搭載量: 3,900L
• - 空虚重量: 6,980 Kg
• - 最大離陸重量: 10,592 Kg
• - エンジン: プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6ターボシャフトエンジン ×3基またはWZ-6 ×3基
• - 出力: 各1,512hp (1,128kW)
• - 最高速度: 315 km/h
• - 巡航速度: 266 km/h
• - 実用上昇限度: 3,100m
• - 上昇率: 690m/min
• - 武装: A244短魚雷、Yu-7短魚雷
• - ミサイル: YJ-81またはYJ-83K

このようにZ-8は多様なバリエーションを持ち、運用国は中国人民解放軍陸軍や海軍、空軍に広がる多目的なヘリコプターです。

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