ZOIDS concept art

『ZOIDS concept art』（ゾイドコンセプトアート）は、ホビージャパンから刊行されているコンセプトアートブックであり、既刊4巻が存在します。

概要

2010年8月から刊行が開始されました。各シーンごとに描かれた美麗なイラスト、ストーリーを補完するテキスト、そしてゾイド図鑑が掲載された架空戦記となっています。

本作の著者は、ゾイドの初期シリーズに携わり「ゾイドの生みの親の一人」と呼ばれる徳山光俊氏です。徳山氏は、細かな設定をあえて設けず、ビジュアルを重視したアート絵本とすることで、子どもたちが自由に空想して遊べる余地を多く残しています。これは、アニメなどが原作のキャラクター玩具にはない「オリジナル玩具としての良さ」、つまり自由に想像が膨らむ点を、タカラトミーの次世代に残すためのコンセプトアートと位置づけられています。

世界観は、往年のゾイドバトルストーリーの要素を散りばめつつも、新規に構築されたものです。1巻では、惑星開拓とゾイドの創造という物語の起点が描かれ、2巻以降では、旧来シリーズからのゾイドたちもデザインアレンジが加えられた上で登場します。

ゾイド30周年を迎えた2013年には、この世界観を踏襲した派生作品であるゾイドオリジナルも展開されました。

あらすじ

1巻

遥か未来、度重なる戦争と環境破壊により、人類と地球は滅亡の危機に瀕していました。人々は脱出船『ZOIC-NOA』で金属惑星『ゾイド』に移住し、そこに生息する原始金属生命体に地球生物のDNAを組み込み『ゾイド』を創造するとともに、それらを使って新たな生活と惑星開拓を始めます。

しかし、進化していくゾイドは人間のコントロールを超越し、開拓者たちの脅威となります。そういったゾイドから身を守るため、開拓者たちは『ゾイドバスター』を結成。人々の支持を背景に次第にゾイドバスターは勢力を拡大し、やがて惑星ゾイド・中央大陸は民主共和勢力とゾイドバスターらが中心となった武装軍事勢力に二分され、それらの対立によって大規模な戦乱に発展していきます。

2巻

民主共和勢力と武装軍事勢力の戦いの最中、空から一隻の宇宙船が飛来します。この惑星探査船『GⅢ』からもたらされた技術者や軍人によって両陣営はその軍備を拡張し、体制もそれぞれ『共和国』『帝国』へと移行します。

新たな技術によって戦争がより激化していくその舞台裏では、ZOIC-NOAの残骸をゆりかごに独自進化を遂げたデスザウラーが生まれようとしていました。

3巻

快進撃を続ける共和国軍は、ついに帝国首都目前まで進軍します。しかしその時、Drデモンが調整を行った最強ゾイド・デスザウラーが共和国領土に奇襲を成功させ、共和国軍は二面作戦を余儀なくされます。共和国軍は総力を結集し、マッドサンダー、ウル[[トラザウルス]]といった精鋭ゾイドたちを繰り出し、これに立ち向かいます。デスザウラーに苦戦しつつも、マッドサンダーと改造型ゴジュラスの連携によってこれを撃破することに成功。別動隊も帝国首都を攻略したことで、大戦は共和国の勝利で幕を閉じました。

暗黒軍の襲来

共和国と帝国の長きに渡る中央大陸戦争は、共和国の勝利で終結しました。二分されていた国家群は統合され、連邦が発足。戦乱が続いた惑星に平和が訪れたかのように見えました。

しかし、戦争によって人々の生活やゾイドの生命活動に必要な資源物資『ゾイドニューム』が枯渇したことにより、連邦政府は惑星『デザートショア』への進出を決定し、探査船『ホエールカイザー』を発進させます。

そこに待ち受けていたのは、独自進化を遂げた新たなゾイドと、惑星に住まう部族、そして新たな陰謀を画策する元帝国技術者・Drデモンを擁する暗黒軍でした。Drデモンの策略によって惑星ゾイドは窮地に立たされますが、交戦の末これを退けることに成功します。そしてデザートショアに赴いていた連邦部隊は、現地民に自然エネルギーの活用法を教わり、惑星ゾイドに帰還します。

登場ゾイド

本作では、発刊時点で従来のゾイドシリーズ（玩具・アニメ・ゲーム）では登場していないオリジナルモチーフのゾイドも登場します。ゾイドの名称や簡単な説明は、各巻末の「メカニックファイル」に図解されており、ゾイド以外で登場するメカ（兵器等）を含めて通し番号（MACHANIC FILE 01〜）が振られています。

物語では、原始的なゾイドから戦闘兵器化されたゾイドまで一連の経過が描かれていますが、いわゆるゾイドとしての固有名詞が当てられているのは兵器化された「戦闘機械獣」のみであり、それ以前のゾイド（WILD〜PROTOTYPE）はモチーフの生物名そのままで呼称されています。

PRIMITIVE-ZOIDS：惑星ゾイドの原始生命体。ケイ素生物であり、脳と心臓の役割を持つ核を甲羅で守っています。ZOICラボの科学者によって地球生物の遺伝子が組み込まれます。
WILD-ZOIDS：原始生命体から進化した金属生命体。その名の通りの野生動物で、陸海空のあらゆる領域に生態系を構築しました。肉食動物型の野生ゾイドは、草食動物型の野生ゾイドを捕食します。
TRAIN-ZOIDS：ゾイド人によって飼い慣らされたゾイド。作中では、農耕用・競技用・輸送用などのゾイドが確認できます。いわゆる家畜的な存在であり、ゾイド人は戦象のようにゾイドの上に搭乗しています。
PROTOTYPE-ZOIDS：コクピットを搭載してパイロットと直接の意思疎通が可能となった初期のメカ生体ゾイド。宇宙船ZOIC-NOAのナノマシンの作用により中枢器官ゾイドコアが発生したことで、人類のコンピュータとの接続ができるようになりました。このメカ生体ゾイドを武装化したものが「戦闘機械獣」と呼ばれます。

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