ゾイド

ゾイド：動物型メカの金字塔、その歴史と魅力

タカラトミー（旧・トミー）が展開する玩具シリーズ「ゾイド」は、動物や恐竜をモチーフとした組み立て式ロボット玩具です。「ZOIC（動物の）」と「ANDROIDS（人造人間）」を組み合わせた造語であり、ゼンマイやモーターによるギミックが魅力です。1980年代から高い人気を誇り、2018年時点でキット累計出荷数は4400万個以上、累計売上は830億円以上に達するなど、動物型メカの代名詞として確固たる地位を築いています。

黎明期：メカボニカからメカ生体ゾイドへ

ゾイドシリーズの歴史は1982年、トミーアメリカ法人が「ZOIDS」として発売したことに始まります。前身となるシリーズ「メカボニカ」は欧米で好評でしたが、日本での反応は低迷。そこで、1983年にタイトルを「メカ生体ゾイド」に変更し、再出発を図りました。

この転換期に大きく貢献したのが、社内アイデアコンテストでゾイドに関わった徳山光俊氏ら若手社員3名によるチームです。彼らは「架空の惑星における共和国と帝国の戦い」という世界観を構築し、既存製品の転用や改造を駆使して、短期間で多くのゾイドをラインナップに加えました。徳山氏は、組み立ての楽しさや、テレビ番組に依存しない普遍的な魅力を追求し、営業部や販売店と協力して、魅力的な店頭展開にも力を注ぎました。電動モーター搭載キット「ビガザウロ」の発売も、人気を加速させる要因となりました。

その後、「ゾイドバトルストーリー」の設定が加わり世界観が深まり、1984年には代表的なゾイドであるゴジュラスや帝国軍ゾイドの発売がシリーズを本格化させました。学習雑誌への掲載や特撮CMも相まって人気は爆発的に拡大し、1987年には1/24スケールのキットも登場します。1989年にはガイロス帝国（暗黒軍）が登場し、ゾイドのデザインはよりヒーロー色を帯びていきますが、1990年にデス・キャットを最後に第1期は終了しました。この第1期における日本国内の累計出荷数は1900万個以上を記録しました。

欧米での展開

ゾイドはアメリカでは「ROBO STRUX」、ヨーロッパでは「ZOIDS」の商品名で販売され、地域によって異なる成型色や設定が採用されていました。日本でのシリーズ休止中も、ヨーロッパやアメリカでは「ZOIDS 2」や「TECHNO ZOIDS」など、独自のシリーズが展開され、特にイギリスで高い人気を誇りました。

復活とメディアミックス展開：第2期

1990年代後半、インターネットの普及を背景に、旧来のゾイドファンに向けたWebコンテンツの提供が始まりました。そして、1999年、9年ぶりに「機獣新世紀ゾイド」としてシリーズが復活。同年には毎日放送でテレビアニメ『ゾイド -ZOIDS-』の放送も開始され、玩具展開も同時にスタートしました。

その後も『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』『ゾイドフューザーズ』『ゾイドジェネシス』など、複数のアニメシリーズが制作され、玩具シリーズは「ゾイドブロックス」「ゾイドエヴォドライブ」など、新しい機構を取り入れた製品が登場します。2006年のタカラとトミーの合併後も、「ゾイドオンラインウォーズ」やコトブキヤとのコラボによるHMM（ハイエンドマスターモデル）シリーズなど、様々な展開が行われました。第2期における国内外の累計出荷数は2500万個以上にのぼります。

ファンへの継続的なアプローチ：2008年以降

第2期アニメ終了後は、コアファン向けの小規模な展開が中心となります。旧キットの復刻や25周年記念企画、海洋堂ややまとのフィギュア、書籍『ZOIDS concept art』の発売など、様々な試みがなされました。また、1/144スケールのプラモデルシリーズ「モデラーズスピリットシリーズ」や、ゾイドオリジナルシリーズも展開されましたが、いずれも短期間で終了しました。

新たな時代へ：第3期と40周年

2018年には、新たなシリーズ「ゾイドワイルド」が発表され、大々的なシリーズ再開を果たしました。完全新作ゾイドの販売やアニメ、漫画、スマホアプリなど、メディアミックス展開を積極的に行い、再び大きな人気を獲得しました。

2023年には、40周年を記念したAZ（Anniversary Zoids）シリーズが展開され、30～35歳の男性（第2期アニメを見て育った世代）をターゲットに、初代アニメの主人公機「ブレードライガー」のハイエンドモデルが発売されました。2024年9月にはAZシリーズは一旦終了しましたが、AZの名を継承し、ADVANCED Ziシリーズとして展開が継続されています。さらに、2025年にはハイターゲットブランド「T-SPARK」の一IPとして展開予定で、完成品トイ、プラキットシリーズ、可動キャラクタープラキットシリーズなど、多様な展開が計画されています。

ゾイドの魅力：多様な商品展開と世界観

ゾイドシリーズの魅力は、組み立ての楽しさ、ギミックの精巧さ、そして魅力的な動物型メカのデザインにあります。接着剤不要のスナップフィット方式、ゼンマイやモーターによる可動ギミック、そして動物をモチーフとした個性的なデザインは、長年に渡り多くの人々を魅了し続けています。

1/72スケールキットは、電動モーター駆動とゼンマイ駆動、大型と小型など、多様なバリエーションが存在します。また、ゾイコロ、ゼブラゾイド、食玩、フィギュア、カードゲーム、ゲームソフト、アニメ、漫画など、メディアミックス展開も盛んに行われ、多様な商品群が展開されてきました。

ゾイドは単なる玩具にとどまらず、世代を超えて愛される、独自の文化を築き上げたと言えるでしょう。今後の展開にも期待が高まります。

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