Iアプリ

iアプリ：携帯電話時代のJavaアプリケーション

NTTドコモが提供していたiアプリは、Java技術を用いた携帯電話向けアプリケーションサービスです。2001年に503iシリーズで初登場し、FOMAシリーズなど、特定のドコモ携帯電話で利用可能でした。auのEZアプリ、SoftBankのS!アプリと同様のサービスで、携帯電話上で動作するゲームやツール、ブラウザなどが提供されていました。

iアプリの進化：DoJaプロファイルと機能拡張

iアプリは、DoJaプロファイルに準拠したJavaアプリケーションとして開発されました。機種やインフラの進化に合わせて、仕様は段階的に拡張されました。初期のiアプリは容量が限られていましたが、機種の進化とともに、プログラム容量、描画機能、通信機能などが大幅に向上していきました。

特に重要な拡張として、iアプリDXがあります。これはiアプリの機能拡張版で、電話帳へのアクセス、iモードメールの制御、着信メロディの変更など、携帯電話本体の機能をより深く制御できるようになりました。また、ダウンロード元以外のサーバーとの通信も可能になり、アプリケーションの表現力と機能性が飛躍的に向上しました。ただし、セキュリティ上のリスクも高まったため、開発環境は当初、限られたコンテンツプロバイダのみに公開されていました。2010年には開発環境が一般公開され、個人開発者もiアプリDXの開発・公開が可能になりました。

各機種におけるiアプリ仕様

iアプリは、搭載機種によって仕様が異なっていました。

mova:

503i: DoJa 1.0、プログラム容量20KB
504i: DoJa 2.0、プログラム容量130KB、マスコットカプセル2.0による3D描画機能追加
505i: DoJa 3.0、プログラム容量230KB、マスコットカプセル3.0、iアプリDX対応
505iS、506i、506iS: 505iと同様の仕様

FOMA:

2101/2001: DoJa 1.0、プログラム容量20KB以上
2102/2051: DoJa 2.1、プログラム容量130KB
900i: DoJa 3.5、プログラム容量500KB（パワーアップiアプリ）
901i: DoJa 4.0、プログラム容量500KB、マスコットカプセル4.0による3D描画機能と3Dサウンド制御機能追加
700i: DoJa 4.0LE、プログラム容量230KB
902i: DoJa 4.1、プログラム容量500KB、デジタル署名関連機能、SD-Binding追加
903i: DoJa 5.0、プログラム容量1MB（メガiアプリ）、OpenGL ES 1.0相当のクラス、Bluetoothクラス追加
904i、905i、906i: 903iと同様の仕様
SIMPURE (600i): プログラム容量130KB
NM850iG: DoJa 1.55e、mova503i相当

iアプリとiアプリDXの比較

iアプリの利用目的と影響

iアプリはゲーム、ツール、ブラウザなど、多様なアプリケーションを提供していました。当時としては高度な表現力を持つアプリも登場し、携帯電話の利用方法を大きく広げました。特に、モバイルゲーム市場の拡大に大きな役割を果たしました。しかし、スマートフォンの普及とともに、その存在感は薄れ、サービスは終了しています。iアプリは、携帯電話向けアプリケーションの黎明期における重要な技術的試みであり、現代のスマートフォンアプリ開発にもつながる重要な歴史的背景を持っています。

関連用語

DoJaプロファイル: iアプリ開発のためのJavaプロファイル
S!アプリ: SoftBankの携帯電話向けアプリサービス
EZアプリ: auの携帯電話向けアプリサービス
ドコモマーケット: iアプリのダウンロードサイト

iアプリは、スマートフォンが登場する以前のモバイルアプリ開発の歴史において重要な役割を果たしたサービスでした。その技術的進化とサービス提供の歴史は、現在のモバイルアプリ開発の基礎となっています。

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