Marigold

浜田麻里『marigold』：新たな挑戦とライブ再開への軌跡

『marigold』（マリーゴールド）は、浜田麻里が2002年3月27日にリリースした19枚目のオリジナルアルバムです。前作『Blanche』から2年ぶり、ポリドールからトライエム／Midget Houseへの移籍後初のアルバムとして発表されました。本作は、大槻啓之氏によるDTM（デスクトップミュージック）を主体とした楽曲で構成されており、従来の浜田の音楽性とは異なる新たな試みがなされています。

制作の背景

当時、浜田はライブ活動を休止しており、周囲からは再開を望む声が上がっていました。しかし、移籍の過程でライブ再開の話は一旦立ち消えとなります。しかし、アルバム制作にあたり、浜田はライブを前提に楽曲を選定し始め、サウンド面でもロック色が再び強まります。制作にあたり、浜田は旧知のビル・ドレッシャー氏に協力を要請するためアメリカへ渡ります。当初は、大槻氏にサウンドの最終段階までを一任する予定ではありませんでした。しかし、アメリカ同時多発テロ事件が発生したことにより渡航制限が生じ、大槻氏との共同作業に切り替えることになります。

浜田は当時を振り返り、「アメリカの人々にとっては、根底から変わってしまう出来事だった」と語っています。この出来事がレコーディング環境に影響を与え、当時台頭し始めたDTMによる楽曲制作と大槻氏の意向が合致し、最終的に大槻氏がミックスまで担当することになりました。浜田は、大槻氏の才能を高く評価しており、この機会にその能力を発揮してもらいたいと考えたと述べています。

また、制作費が縮小したことも、本作の方向性に影響を与えました。浜田はこれを「自分の身の丈から始めるべき運命だと感じた」と語っています。これにより、従来のレコーディング方法とは異なるアプローチが採用され、ファンからは「不思議に思う」という声も上がりましたが、浜田は「経費の問題で、ああいうレコーディング方法にしたのだろうという見方に行き着いていると思う」と語っています。

ライブ活動の再開

『marigold』をリリース後、コンサートツアーが開催されました。国内では、1993年のアルバム『Anti-Heroine』以来9年ぶりのツアーとなり、東名阪のみの開催でしたが、チケットは即完売しました。ファンからは以前からライブ再開を望む声が上がっており、浜田もプレッシャーを感じていたと言います。ライブ再開のきっかけの一つとして、ラジオの公開生放送での出来事が挙げられます。観覧していた夫婦から「麻里さんがツアーを再開するまで、子供は絶対作らない」と言われたことが、浜田にとって大きな転機となり、ライブ再開への決意を固めることになりました。浜田は「あの再開が突破口になって、ここから積み上げていくんだという気持ちになれた」と語っています。

音楽性

アルバム1曲目の「Emergency」は、当時アメリカで流行していたトランスを意識した楽曲で、浜田は「このビート感は私の音楽に取り入れられる」と感じ、大槻に「トランス系のダンスビートとハードなギターを融合させた曲を核にしたい」と強く伝えたといいます。この曲は、従来のハードロック路線とは一線を画す新しい音楽性を象徴する楽曲となっています。

批評

音楽雑誌『CDジャーナル』は、本作のハードロック路線からデジタル・サウンドへの変化を「時代に対応した音作り」と評価し、浜田の歌唱力については「あいかわらず歌がうまい」と肯定的な評価をしています。

収録曲

1. Emergency
2. Stay Gold
3. Skip
4. Amaranth
5. Blue Water
6. Border Line
7. Love Creature
8. Nostalgia
9. Time Again
10. Wish

参加ミュージシャン

All Instruments production & Mix：大槻啓之（Except “Amaranth”）
Mix engineer of “Amaranth” & associated engineering：内田孝弘 (Victor studio)
All voice & vocal arrangements：浜田麻里

メディアでの使用

記載なし

リリース日一覧

2002年3月27日

脚注

記載なし

外部リンク

* Mari Hamada Official Siteによる紹介ページ

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