おかげ横丁

おかげ横丁：伊勢神宮門前町の魅力を再現した観光地

おかげ横丁は、三重県伊勢市にある、伊勢神宮内宮前に広がる観光地です。江戸時代末期から明治時代初期の鳥居前町の賑わいを再現しており、伊勢神宮への参拝客でにぎわった歴史ある町並みを忠実に再現した建物が立ち並びます。運営は、有名な和菓子店『赤福』の子会社である株式会社伊勢福が行っています。

赤福の町づくりへの取り組み

おかげ横丁は、赤福社長であった濱田益嗣氏の主導の下、1993年に完成しました。建設費用は約140億円にのぼり、当時の赤福の年間売上高に匹敵する巨額の投資がなされました。これは、高度経済成長期以降、減少していた伊勢神宮への参拝客数を回復させるための、赤福による町づくりの取り組みの一環でした。

濱田氏は、岐阜県高山市や長野県小布施町など、成功した町づくりを行った地域を視察し、その経験を参考に、おかげ横丁の設計に反映させました。伊勢特有の妻入りの建物や、河崎の蔵、桑名の洋館など、様々な建築様式を融合させ、28もの建造物を集め、独特の景観を作り出しています。

行政からの補助金は一切受けず、赤福の自己資金で建設されました。この大胆な投資は、伊勢神宮への感謝の念と、地域経済への貢献を目的としたものでした。おかげ横丁という名称も、「おかげ参り」と「商いを続けてこられたのは伊勢神宮のおかげ」という二つの意味が込められています。

おかげ横丁の構成と魅力

おかげ横丁には、伊勢志摩の特産品や土産物を扱う49店舗が軒を連ねています。食品店や工芸品店、飲食店など、多様な店舗が訪れる人々を楽しませています。赤福本店もその一つで、看板商品の赤福餅の他、季節限定のメニューも提供しています。

おかげ横丁は、おはらい町と隣接していますが、明確な境界はなく、入場料も無料です。そのため、テーマパークではなく、自由な雰囲気の中で伊勢の文化に触れられる場所となっています。両者の名称が似ていることから、混同されることもありますが、おはらい町とは異なる独自の空間です。

歴史と事件

おかげ横丁は、開業後、順調に経営が軌道に乗り、10年で借金の返済を完了しました。おかげ横丁の開業後、おはらい町の観光客数も大幅に増加しました。しかし、2007年には親会社である赤福の偽装事件が発覚し、大きな影響を受けました。赤福は営業自粛を余儀なくされましたが、おかげ横丁は事件に直接関与していなかったため、通常通り営業を続けました。

その後、東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の世界的流行など、幾多の困難を経験しましたが、おかげ横丁は、地域住民や観光客の支えを得て、現在も盛況を続けています。

おかげ横丁の特色

おかげ横丁の最大の特徴は、細部までこだわった町並みの再現です。伊勢路に実在した妻入りの木造建築物を忠実に再現し、伝統的な町並みを再現しています。また、従業員の温かいおもてなしも魅力の一つです。

バリアフリーにも配慮されており、身体障害者用の駐車場やトイレが整備されています。しかし、石畳や段差など、注意が必要な箇所もあります。

謝罪とその後

2013年、前社長の浜田氏は、外国人観光客に関する不適切な発言を行い、物議を醸しました。赤福は公式に謝罪を行い、多様性への配慮を改めて表明しました。

おかげ横丁は、歴史と伝統、そして現代的な要素が融合した、魅力的な観光地です。伊勢神宮への参拝と合わせて、ぜひ訪れてみてください。

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