おもちゃのまち

栃木県壬生町「おもちゃのまち」：玩具の歴史と未来が交差する場所

栃木県下都賀郡壬生町に位置する「おもちゃのまち」は、東武宇都宮線おもちゃのまち駅周辺に広がる地域を指します。一丁目から五丁目までの町丁が存在し、その名の通り、おもちゃ産業と深い関わりを持つ地域です。メディアにも取り上げられる珍しい地名の由来や、歴史、地理的特徴、そして現代の姿を詳しく見ていきましょう。

地理的特徴と交通の利便性

おもちゃのまちは、関東平野の北部に位置し、壬生町の北東部一帯に広がっています。東には下野市との境界をなす姿川が流れ、宇都宮市や栃木市へのアクセスも良好です。東武宇都宮線が南北を貫き、栃木街道や栃木県道71号が交差するなど、交通の便が良いことから、両市のベッドタウンとして発展してきました。

玩具工場誘致から生まれた「おもちゃのまち」の歴史

1960年代、東京都墨田区の玩具メーカーが、地価高騰や工場制限法などの問題に直面していました。そこで、東京玩具組合長であった富山栄市郎（トミー創業者）が中心となり、工場を移転集約して工業団地を形成する計画が立ち上がりました。

当初は千葉県流山市も候補地となりましたが、土地価格の高騰などにより断念。その後、第二次世界大戦中に使用された国谷飛行場跡地に着目し、壬生町への誘致が決定しました。東武鉄道も積極的に協力し、1963年から5年計画で建設がスタート。1965年にはおもちゃ団地として11社が操業を開始しました。

従業員の通勤のために、1964年にはおもちゃのまち駅が開業。駅名は富山栄市郎が命名し、地域にふさわしい夢のある駅になるようにと、すべて平仮名で表記されました。1966年にはさらに25社が進出し、建売住宅の販売も始まり、ベッドタウンとしての性格を強めていきました。1969年には日本玩具共同研究所も設立され、おもちゃのまちの発展を支えました。

獨協医科大学の進出と医療拠点の確立

1960年代末には、医師不足を背景に医科大学設立の動きが活発化。獨協学園も医科大学設立を決定し、候補地としておもちゃ団地に程近い壬生町大字北小林が選ばれました。東武鉄道の所有地であったため土地の取得が容易であったことが決め手となり、1973年に獨協医科大学が開学。翌年には獨協医科大学病院も開設され、地域住民にとって重要な医療拠点となっています。

現代のおもちゃのまち：変化と新たな試み

1977年におもちゃのまち駅周辺で住居表示が実施され、駅の東西にそれぞれ「緑町」「幸町」の地名が与えられました。また、工業団地には「おもちゃのまち」を冠した一丁目から五丁目の地名が新たに誕生しました。しかし、1990年代以降は、輸出減少や海外への工場移転などにより、玩具工場の撤退が進み、「おもちゃのまち」としての特色は薄れつつあります。

そのような状況の中、1995年には壬生町立おもちゃ博物館が開館し、地域の歴史を伝えています。2007年にはバンダイミュージアムが移転オープンし、新たな観光スポットとして注目を集めています。また、2012年にはショッピングセンター「フレスポおもちゃのまち」が開業し、地域住民の生活を支えています。

町おこしキャラクターによる地域活性化

2012年には、おもちゃ団地協同組合などが中心となり、「おもちゃのまち活性化推進協議会」が発足。ご当地キャラクター「壬生ゆうゆ」と「壬生えみこ」が誕生し、オリジナルグッズの販売やイベント開催など、萌えおこしによる地域活性化に取り組んでいます。

おもちゃのまちは、かつて玩具産業の中心地として栄えましたが、時代の変化とともにその姿を変えつつあります。しかし、おもちゃ博物館やバンダイミュージアム、町おこしキャラクターなど、新たな試みを通じて、地域の魅力を発信し続けています。おもちゃのまちの未来に、これからも注目していきたいです。

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