お化けマンション

お化けマンション

お化けマンションとは、東京都町田市能ヶ谷町にかつて存在した廃墟を指します。このマンションは、鶴川地区に位置し、最寄り駅は小田急小田原線の鶴川駅です。その名の通り、異様な風貌から特に都市伝説や恐怖の対象とされることが多く、現在も語り継がれています。

構造と歴史

この建物は、上空から見ると「く」の字型をした独特の形状をしています。その外壁は、建物の工事が中断されたために完成しておらず、周囲の人々に強い印象を残しました。1967年に、地上6階、地下1階からなる100部屋の分譲マンションとしての建設が開始されましたが、1968年には基礎工事が終わると同時に、土地の造成が未許可であったことが明らかになり、その後裁判に発展します。また、建材が建築基準法に違反していることも判明し、工事は再開されることなく中断されました。

このような理由から、結審が終わるまでの間、建物は取り壊されることなく放置されることになります。結果として、未完の外観が人々の興味を引き、いつしか「お化けマンション」として知られるようになりました。

特撮の舞台

お化けマンションは、特に1970年代の特撮作品に多数登場しました。特に有名なのが『仮面ライダー』で、劇場版である『仮面ライダー対じごく大使』では屋上にヘリコプターを着陸させるシーンがあったと言われています。しかし、その建物は違法建築であったため、撮影中に倒壊する危険があったとか。このような危険を抱えながらも、撮影スタッフは、コンクリートに発泡スチロールの粉が混ざっているなど、奇妙な体験を語っています。

取り壊しとその後

お化けマンションの運命は1991年に変わります。町田市が土地を取得し、同年5月に所有者の負担で取り壊されることが決定しました。以降、跡地は町田市公園緑地課によって「能ヶ谷きつねくぼ緑地」として整備されました。この緑地は、開園当初は奇数週の土曜日のみ立ち入ることができる状態でしたが、現在では園路も整備され、終日利用可能な場所へと進化しました。2020年には「きつねくぼ緑地前」というバス停が新たに設置され、地域の交通環境も改善されています。

類似した物件

お化けマンションに類似した現象が他にもあります。滋賀県大津市にて建設された「木の岡レイクサイドビル」は、同時期に「幽霊ホテル」の名で知られ、結局は解体されています。これらの事例からも、建築物としての地位や期限を越えた存在意義について考えさせられます。

お化けマンションの存在は、地域の歴史や文化を象徴していると同時に、特撮文化の一部を形成した重要な遺産とも言えるでしょう。

もう一度検索