かこさとし

加古里子について

加古里子（かこ さとし）は、1926年3月31日に福井県で生まれ、2018年5月2日に神奈川県で亡くなった、日本を代表する絵本作家であり児童文学者です。本名は中島哲（なかじま さとし）で、俳号として「里子」を用いていました。彼の作品は、子どもたちの心に響く温かさや深い知識を持つものとして広く愛されています。

人物・来歴

福井県今立郡で誕生した加古は、8歳までその地で過ごし、その後東京都板橋区で成長しました。東京府立第九中学校をはじめ、旧制成蹊高等学校を経て、東京大学工学部応用化学科に進学しました。成蹊高校時代には、中村草田男という著名な教師に影響を受けました。1945年には疎開先で終戦を迎え、1946年からは演劇研究会に参加し、子供向けの劇作や舞台装置のデザインに携わりました。

1948年には昭和電工に就職し、研究活動を行いながら、川崎市でのセツルメント活動や児童向け人形劇、紙芝居といった様々な活動に取り組みました。1962年には東京工業大学から工学博士の学位を取得し、その後1966年には技術士（化学）の資格も取得しました。

絵本作者としての活動

加古の初めての絵本は、1959年に出版された『だむのおじさんたち』で、人々の生活におけるダムの役割を描いています。1973年には昭和電工を退社し、その後はフリーとして多くの絵本を発表しました。特に「だるまちゃん」シリーズを代表とし、多彩な作品群を持つことが彼の特徴です。

加古の絵本は、子供たちの遊びや日本の伝統文化を描写しており、特に『だるまちゃんとかみなりちゃん』や『かわ』などは、ユーモラスな要素と教育的な視点を兼ね備えています。また、加古自身が所属する日本化学会への貢献も忘れてはなりません。彼の作品の多くは、科学への興味を引き出すものであり、教育者の視点が含まれています。

さらに、加古は絵本制作に関する著書も発表しており、『加古里子 絵本への道』や『遊びの四季』など、絵本制作の理論や子どもの遊びについての研究資料も含めて出版しています。2013年には、代表作『からすのパンやさん』の続編を40年ぶりに発表し、多くのファンの期待に応えました。

受賞歴

加古の作品は、数多くの賞を受賞しており、1963年には産経児童出版文化賞大賞を受賞した『かわ』や、1970年に児童福祉文化賞を受賞した『海』などがあります。また、2009年には日本化学会特別功労賞を受賞するなど、教育や文化への影響力が認められています。

最期と遺産

加古里子は、2018年5月に慢性腎不全のため92歳で亡くなりました。彼が残した作品や、その教育的な理念は、今も多くの子どもたちや大人たちに受け継がれています。特に、彼の絵本に触れることで、多くの人が科学や文化に対する興味を持つようになり、人生に色彩を与えてくれる存在となっています。加古里子の名前や作品は、未来の世代にとっても大切な財産として残されることでしょう。

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