ひとみちゃん

俳優、パフォーマー、そして音楽家（作詞家、作曲家）として多才な活動を展開するひと:みちゃんは、愛知県名古屋市出身。生年不詳。

芸名の「み」の上にはフランス語のウムラウト記号が付くのが正式な表記とされるが、ウェブ上では再現が難しいため「ひと:みちゃん」などと表記されることも多い。その個性的なスタイルから『漫談・司会の爆裂王子』の異名を持つ。名古屋を拠点とするアングラパフォーマンスオーケストラ「無慈悲なパイプ」の中心メンバーであり、自身が創始した音楽ジャンル『艶歌シャンソニエ』の家元としても知られている。

キャリアは1990年代後半に、友人に付き添って参加した演芸コンテストでの合格を機にスタート。これが初舞台となり、以後、派手な着物を纏い、マシンガントークを繰り出すその特異な芸風が徐々に口コミで広まり、名古屋の大須演芸場でのレギュラー出演へと繋がった。

彼の芸風は、自身が用意した効果音（SE）やBGMを使用し、かつてのキャバレーや大衆演劇風の口上芸を取り入れた一人漫談を特徴とする。新感覚の漫談を、原則として観客との直接的なやり取り（客いじり）は行わず、歯切れの良いコミカルな語り口とマシンガントークで披露するスタイルを確立している。

大須演芸場を主な活動拠点としていたが、浅草フランス座演芸場東洋館や、東京・京阪神の各種クラブイベントでの司会、艶歌シャンソニエのリサイタルなど、活動の場を広げた。2014年2月に大須演芸場が一時閉場した後、活動の場を東京にも広げ、以降は東名阪を頻繁に行き来しながら活動を継続。特に、強制執行により閉場した2014年の大須演芸場と、2016年の鈴蘭南座という、二つの劇場の最終公演に出演した唯一の出演者としても特筆される。

演芸活動と並行して、俳優としても活躍の幅を広げている。大衆演劇の「劇団源之丞」への客演を経て、様々な映画に出演する機会が増加。2015年頃からは、自主製作映画や話題作に多数出演し、それらの作品群が多く制作される関西方面とも行き来する活動が増えた。出演作品の主題歌を手がけるなど、俳優と音楽家の両面で存在感を示す。特に2018年公開の映画『父、かえれ!』（武石昂大監督）では主演を務め、長年不在だった父親役を飄々と演じきり、俳優としての存在感を示した。さらに2023年の映画『イミテーションブルー』（山中太郎監督）における助演が評価され、『Kisssh kisssssshu映画祭2023』で助演男優賞を受賞するなど、俳優としても確かな実績を築いている。

音楽面では、所属するアングラパフォーマンスオーケストラ「無慈悲なパイプ」での活動に加え、『艶歌シャンソニエ』家元としてリサイタルを行うほか、映画音楽の制作（『温泉しかばね芸者』では音楽監修も担当）や主題歌提供、自身のディスコグラフィを有するなど、多岐にわたる。ラジオ番組のパーソナリティやテレビ出演、ミュージックビデオへの参加など、メディアでの活動も行う。

伝統芸能、宝塚歌劇団、大衆演劇、各種演芸や音楽の鑑賞、そして着物収集を趣味とするなど、幅広い造詣の深さも知られる。演芸、音楽、演劇、映画といったジャンルを自在に横断し、独自のパフォーマンススタイルと多彩な才能で、精力的に表現活動を展開し続けている。

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