ブフ

ブフ（蒙古相撲）

概要

ブフ（蒙古語：ᠪᠥᠬᠡ、現代モンゴル語：бөх、中国語：搏克）は、古代モンゴルに起源を持つ伝統的な立技組技系の格闘技です。紀元前3世紀頃から人々の間で、競技として馬の速さ、力強い組み合い、弓の技術が発展し、それがブフへと進化してきたと考えられています。また、宗教的な儀式や軍事訓練の側面も持ち合わせています。日本ではその特徴から「モンゴル相撲」として広まっています。

歴史

モンゴル国の国家ナーダムは1921年から実施されている民族の祭典で、そこではブフが主要なイベントの一つとして行われています。内モンゴルでも1948年からブフが実施され、1978年には近代スポーツ化のためにルールが改革されました。1999年には賞金制度が導入され、モンゴル国でも1997年に「ブフ・リーグ」が設立され、商業化が進む中でプロスポーツとしての面も持つようになりました。

ブフの流派

ブフは主に二つに分けられます。
1. ハルハ・ブフ：モンゴル国で行われるスタイル。
2. ウジュムチン・ブフ：中国・内モンゴル自治区で行われるスタイル。

これらのスタイルにはルールや衣装、称号に違いがあります。また、ウジュムチン・ブフの代表的な力士の一人、蒼国来栄吉は内モンゴル流派の選手です。さらに、ブフには多様な形態が存在し、ボホ・ノーロルドンやオルドス・ブフといった様々な派生スタイルがあります。

ルール

ウジュムチン・ブフでは、取り組み中に1人のヒャナグチ（行司）が採用され、特定のルールに基づいて判定が行われます。足の裏以外が地面に触れると敗北となり、手を使った下半身への攻撃は禁止されています。一方で、ハルハ・ブフでは、複数の技を使いながら自由な取り組みが認められ、地面にどの部分が先に触れたかが判断基準です。特に、トーナメント形式の大会が年に一度行われ、上位の力士には称号が与えられます。

衣装と儀式

ウジュムチン・ブフにおいては、ゾドク（ベスト）、ゴダル（ブーツ）などの伝統的な衣装が必要で、特別な首飾りを身につけることが求められます。ハルハ・ブフでは、民族帽子やブリーフ型のパンツ、ブーツなどが特徴です。選手は特定の儀式に従い、試合前に行司とやり取りを行ったり、入場時に演出を伴うことが多いです。

代表的な力士

ブフの著名な力士として、横綱白鵬翔の父であるジグジドゥ・ムンフバトが挙げられます。彼は1964年のオリンピックに出場した国家的英雄であり、国家ナーダムでも数回優勝を飾っています。また、バドマンヤンブー・バドエルダニは多くの国家大会で連続優勝を成し遂げた実力者であり、レスリングやサンボでも活躍した選手です。

結論

ブフはモンゴルの文化に根差した伝統的な格闘技であり、その歴史やルール、衣装は深い意味を持っています。商業化が進む中で、依然として競技の本質は守られ、国内外に多くのファンを持つ魅力的なスポーツです。

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