ぽっぷるメイル

『ぽっぷるメイル』は、1991年 12月20日に日本ファルコムから発売されたPC-8801用のアクションロールプレイングゲームです。賞金稼ぎである主人公メイルを操作し、超高額賞金が懸けられた魔導士マテリアル・ホルンを倒すことが目的となります。ゲームシステムは、同社の『ザナドゥ』や『ロマンシア』を踏襲し、敵に体当たりすることで戦闘を行うという特徴的なシステムを採用しています。

概要

本作は、賞金稼ぎの主人公メイルが、魔法使いのタット、怪獣のガウといった個性的な仲間たちと共に繰り広げる、ドタバタ冒険活劇です。1990年代初頭、国産PCの主流がPC-98へと移行する中で、ファルコムは「まだPC-88ユーザーを見捨てるつもりはない」というメッセージを込め、『ダイナソア』と共にPC-88向けオリジナルタイトルとして本作を開発し、年末商戦に向けて発売しました。

オリジナル版であるPC-8801版は、当時の非力な機種でありながら、背景の3重スクロールやサウンドボードIIへの対応など、様々な演出が施されています。また、CD-ROMドライブに対応しており、対応環境下ではCD音源によるBGM再生も可能でした。

後に、パソコンだけでなく家庭用ゲーム機にも移植されました。特に、ファルコムが直接開発に携わったSFC版は、ストーリーやキャラクターの追加、設定やステージ構成の変更、新曲BGMの追加など、大幅なリメイクが施されています。一方、MCD版やPCE版は、ライセンス提供とBGM提供に留まっています。

PC-88版のキャラクターデザインは、当時ファルコム社員であった田中久仁彦が担当しましたが、開発途中で退社したため、スタッフロールにはクレジットされていません。パッケージイラストなどの一部版権画は、OVA『イース天空の神殿』にも携わったアニメーターの西村博之が担当しています。

家庭用ゲーム機版の発売当時、『英雄伝説ガガーブトリロジー』と共に、ラジオドラマなどのメディアミックスも盛んに行われました。しかし、ファルコム作品の中では珍しく、続編開発やWindowsでのリメイクが行われておらず、オンライン版も発売されていません。

ゲーム内容

基本的なゲームシステムは、『ザナドゥ』や『ロマンシア』といった過去のファルコム製アクションRPGを踏襲しています。横スクロール画面上で、メイル自身が敵に体当たりすることで戦闘を進めます（ただし、ダガーなどの武器によっては遠隔攻撃も可能）。メガCD版・スーパーファミコン版では、システムが大幅に変更され、武器にのみ攻撃判定が設定され、剣を振って攻撃したり、上突き攻撃ができるなど、アクション性が強化されています。

ストーリーを進めることで、魔導師のタット、怪獣のガウが仲間となり、プレイヤーキャラクターとして使用可能になります。タットは魔法を使う遠距離戦向け、ガウはジャンプの滞空時間が長く、炎を吐くことができる中距離戦向けとして位置づけられており、それぞれの特徴を活かして攻略する必要があります。また、使用キャラクターによって、街の住民との会話内容が変化する仕組みも採用されています。

ストーリー

はるか古代、異界から襲来した3人の魔王によって、世界は暗黒に包まれていました。魔王たちはそれぞれ「獣の王」、「死霊の王」、「闇の王」と名乗り、魔物の軍勢を率いて人間たちを圧倒していました。しかし、知恵と勇気を兼ね備えたエルフの魔法使い、人間の剣士、ドワーフの戦士が魔王に戦いを挑み、見事勝利を収めます。戦いの後、彼らは名を残すことなく姿を消しました。

それから幾星霜の時が流れ、エルフの賞金稼ぎメイルは、50万ゴールドの賞金首であるマリオネット強盗団の首領ナッツ・クラッカーを追い詰めますが、逃げられてしまいます。自分の才能のなさに落ち込み、廃業を考えたメイルは、200万ゴールドもの超高額賞金首、魔導士マテリアル・ホルンの名前を見つけます。簡単に捕らえられると判断した彼女は、「最後にこいつでひと花咲かせよう」と決意し、マテリアルの弟子であるタットや、洞窟に住む怪獣ガウを巻き込み、マテリアルを追う旅に出ます。

キャラクター

メイル
声：林原めぐみ（メガCD）／國府田マリ子（PCエンジン）
本作の主人公。明るくおてんばで勝気な、お金大好きなエルフの賞金稼ぎ。
タット
声：石田彰（メガCD）／戸田恵子（PCエンジン）
マテリアルの弟子の若き見習い魔導師。温厚な少年だが、怒ると非常に怖い。
ガウ
声：千葉繁（メガCD）／山本圭子（PCエンジン）
洞窟に住む怪獣。語尾に「ガウ」とつける。感情を抑えるのが苦手。
ブラッキー
声：飛田展男（メガCD）／神谷明（PCエンジン）
エルフの村の問題児。根性や度胸がなく、トラブルメーカー。
ヤコブ
声：三浦雅子（メガCD）／塩屋浩三（PCエンジン）
ブラッキーの親友。自称「最先端を行くドワーフ」。細工師としてはかなりの腕前。
ナッツ・クラッカー
声：千葉繁（メガCD）／八奈見乗児（PCエンジン）
マリオネット強盗団首領。実はマテリアルが作ったからくり人形。
マテリアル・ホルン
声：石森達幸（メガCD）／宮内幸平（PCエンジン）
タットの師匠。高額賞金首に成り下がってしまった魔導師。
マリル
マテリアルの孫娘。タットの許婚を自称し、旅に出たタットを追いかける。SFC版およびドラマCDに登場。

移植版

オリジナルであるパソコン版以外にも、家庭用ゲーム機にも移植されており、それぞれにアレンジが加えられています。現在、PC-8801版、PC-9801版、スーパーファミコン版はプロジェクトEGGでプレイ可能です。

PC-9801版
グラフィックの解像度や色数が増加し、サウンド面も強化されています。
メガCD版
キャラクター表示が大きめに描かれ、CD音源によるBGMや声優によるセリフが追加されています。
スーパーファミコン版
ファルコム自身が開発を手がけ、ストーリーやゲームシステムが大幅に変更されています。
PCエンジンSUPER CD-ROM2版
ビジュアルシーンが改訂され、新たなマップ・シナリオが追加されています。
携帯電話ゲーム版
PC-98版をベースに携帯電話向けに移植されています。

音楽

主題歌
PCエンジンSUPER CD-ROM2版主題歌：「誰かがあなたを愛してる」
サウンドトラック
ミュージック・フロム・ぽっぷるメイル
ぽっぷるメイルサウンドボックス'94
誰かがあなたを愛してる/南翔子

ぽっぷるメイル