マユミ

マユミ（檀・真弓）

マユミ（学名: Euonymus sieboldianus var. sieboldianus）は、ニシキギ科に属する落葉低木または小高木で、日本や中国の野山に自生しています。この植物の特徴的な淡紅色の果実は熟すと4つに裂けて、鮮やかな赤い種子が姿を現します。特に秋には果実や種子、そして美しい紅葉を楽しむ庭木として広く親しまれており、また盆栽にも適した樹種です。なお、果実は有毒ですが、春に出る新芽は山菜として食用にされます。

名称

和名の「マユミ」は、昔、この木から弓が作られたことに由来しており、他にもヤマニシキギ、カンサイマユミ、オオバマユミ、エゾオオバマユミ、ユミノキなどの別名があります。また各地方ではマキ、マヨメ、キノメ、アカイベベと呼ばれることもあります。

分布

この植物は、日本の北海道から本州、四国、九州、さらには屋久島まで分布し、国外では南千島やサハリン、朝鮮半島南部、中国などでも見ることができます。主に丘陵地、山地、低地の尾根や明るい低木林に自生しており、庭園に植栽されることも多いです。

形態・生態

マユミは3から10メートルの高さに成長する落葉広葉樹の低木から小高木です。特に枝分かれが進み、こんもりとした樹形を形成します。樹皮は灰白色で、年を重ねるごとに縦に裂け目が入ります。若い枝はしなやかで、暗緑色で光に当たる部分は暗紅色を帯びます。

葉は対生で、楕円形をしており、幅が広いものと狭いものなど多様性があります。秋になると葉は紅葉し、赤く染まるものもあれば、クリーム色や橙色、さらには淡いピンク色になることもあります。特に紅葉は一様に赤くなることは少なく、朱色やサーモンピンクが多く見られ、葉脈やその他に緑色や紫褐色、黄褐色が混ざることで独特の模様を作ります。紅葉期には葉が力を失い、早めに落葉することが特徴です。

開花は晩春から初夏にかけて、雌雄異株です。花は淡い緑色で目立つことは少なく、新芽の根本近くに4弁の小花が複数咲きます。果実は秋に成熟し、雌株には夏の間、果実がぶら下がるようにつきます。果実は角ばった4裂に分かれ、熟すと淡紅色に輝きます。{

市販されているのは主に雌木で、雌木1本でも果実を実らせることが可能です。冬には果実が残り、ヒヨドリやメジロが訪れることもあります。冬芽は卵形で毛に包まれ、枝には目立つ葉痕があります。

栽培

剪定は落葉中に行うのが理想的で、成長は比較的速いです。若木のうちから樹形の骨格を構築し、分枝した後は強い剪定を避けるべきです。根が浅いため、過度な乾燥には弱く、適度な水分が維持されれば病害虫もあまり発生しません。

利用方法

マユミはその強度としなやかさから、古くから弓の材料として利用されてきました。このため、弓を「真弓」とも呼びます。また、和紙の材料としても重宝されましたが、現在では楮に取って代わられています。材質は狂いが少なく、細工物に使われ、近年では印鑑や櫛の材料とされることも多いです。

新芽は山菜としても重宝され、特に若芽や若葉が摘まれます。ぼんやりした葉は灰汁が強いため、生のままでなく、天ぷらや茹で物、和え物、油炒め、葉飯、スープの具などに調理されます。しかし果実には注意が必要で、有毒であり、特に種子には危険な成分が含まれているため、摂取は避けなければなりません。また、成葉を食べることで下痢を引き起こすこともあるため注意が必要です。

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