アーモンドミルク

アーモンドミルクは、水に浸したアーモンドをミキサーなどで細かく砕き、水を加えてガーゼなどで丁寧に漉して作られる植物性の飲料です。牛乳とは異なり、乳糖を一切含まないため、乳糖不耐症の方でも安心して飲むことができます。また、コレステロールも含まれていないため、健康を気遣う人々にも選ばれています。

そのまま飲むこともできますが、メープルシロップや蜂蜜などを加えて甘みを加えて飲むのが一般的です。アーモンドの風味がほんのり感じられ、飲みやすいのが特徴です。

その歴史は古く、中世にはすでにイスラム圏やキリスト教圏で広く知られていました。当時の台所では、牛乳は腐敗しやすかったため、アーモンドミルクは常備されることが多かったようです。

特にイランでは、アーモンドミルクをベースにした「ハリーレ・バダム」という伝統的なお粥が、ラマダン期間中に供されています。これは、アーモンドミルクが古くから人々の生活に根付いていたことを示す良い例でしょう。

欧米では、バニラやチョコレートなどの風味を加えたアーモンドミルクも市販されており、豆乳と同じように広く受け入れられています。ヴィーガンの方々にとっては、動物性食品を一切含まないアーモンドミルクは、重要な代替食品です。また、キリスト教の四旬節など、宗教的な理由で動物性食品を控える期間にも、牛乳の代わりに利用されています。伝統的なデザートであるブラン・マンジェも、アーモンドミルクを用いて作られます。

さらに、アーモンドミルクから作られた無糖の有機ヨーグルトは、ハーバード大学医学大学院が推奨する食品の一つとして知られています。その健康効果にも注目が集まっています。

日本では、アーモンドミルクは広く流通していますが、注意すべき点もあります。ビター種（苦扁桃）のアーモンドにはアミグダリンという物質が含まれており、これが調理過程でシアン化水素を生成するため、アーモンドミルクの原料には適していません。そのため、市販のアーモンドミルクは、安全な品種のアーモンドを使用して製造されています。

このように、アーモンドミルクは、健康に配慮した飲料としてだけでなく、食文化や宗教的な背景にも深く関わっていることがわかります。幅広い用途と歴史を持つアーモンドミルクは、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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