イカリソース

イカリソース株式会社：老舗ソースメーカーの挑戦と変遷

イカリソース株式会社は、1896年2月、大阪で食品販売代理店「山城屋」として創業しました。日本で初めて本格的なウスターソースを製造・販売した企業として知られ、その歴史は1世紀以上に及びます。創業者の木村幸次郎氏は、中国での船火事の際に救命ランチの錨綱に助けられた経験から、「錨印ソース」という商品名と錨をシンボルマークとする「イカリマーク」を採用。このイカリマークは、同社の象徴として現在も親しまれています。

当初は業務用ソースに注力し、地元大阪をはじめとする西日本の洋食店、たこ焼き店、お好み焼き店などに特製ソースを提供。独自の製法で、みかんや玉ねぎを使った他社とは異なる風味のソースは、多くの飲食店から愛され、老舗の味を支え続けています。西日本を中心に広く販売され、同地域における食品業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立しました。

戦後には、ソースに加えトマトジュースやケチャップなどのトマト加工品の製造・販売にも事業を拡大。1970年代には、ザ・ドリフターズを起用したCMで「おれはいかりや、ソースはイカリ」というキャッチコピーが全国区となり、それまで西日本中心だった知名度を飛躍的に向上させました。

しかし、1980年代のバブル期には不動産投資などの失敗が経営を圧迫し、3期連続の赤字決算に陥るなど、厳しい経営状況に直面します。東日本市場への進出も試みましたが、ブランド力不足や嗜好の違いから販売は伸び悩み、価格競争に巻き込まれるという悪循環に陥りました。さらに、経営陣による産業廃棄物処理設備を巡る詐欺事件も発生し、信用を失墜。2005年には会社更生法を申請する事態に追い込まれました。

この危機を救ったのはブルドックソースでした。かねてより関西市場への進出を図っていたブルドックソースは、イカリソースを支援。2005年11月、ブルドックソースの子会社であるサンワフーズがイカリソースの商号を継承し、再スタートを切りました。

ブルドックソース傘下入り後は、当初は関西市場におけるブルドック製品の販売と、廉価版商品の生産に注力しました。しかし、この戦略は旧イカリソース社員や取引先からの反発を招きました。そこで、方針転換を図り、首都圏などエリア外では廉価品に加え「イカリソースレトロ」などの高級路線商品も展開。関西圏では、ブルドック製品とイカリブランドの両方を維持する戦略を取りました。大阪名物であるたこ焼きなどの専用ソースを販売するなど、新たな取り組みも展開しています。

イカリソースは、創業以来、幾多の困難を経験しながらも、伝統の味と独自のブランド力を活かし、現在も事業を継続しています。その歴史と努力は、老舗メーカーの生き残りをかけた挑戦の物語として、多くの人々に感銘を与え続けていると言えるでしょう。

山城屋百貨店

イカリソースの前身である山城屋は、1934年に門司支店が経営難に陥っていた地元の百貨店「平井屋」を買収し、「山城屋百貨店」を開業しました。門司港地区の中心的な百貨店として繁栄しましたが、2001年に閉店しています。

事業所

イカリソースは、兵庫県西宮市に本店・西宮工場、大阪府大阪市に本社事務所・大阪支店、その他東京、広島、福岡、名古屋、高松などに営業所を構えています。過去には佐賀県鳥栖市に九州工場がありましたが、現在、小分けされた製品は関東の他社工場に委託製造されています。

沿革

• - 1896年2月20日：山城屋創業、日本で初めてウスターソースを製造
• - 1912年3月20日：大阪此花区に工場竣工
• - 1934年末：山城屋百貨店開業
• - 1951年1[[2月26日]]：イカリソース株式会社に商号変更
• - 1970年4月1日：九州工場（佐賀県鳥栖市）竣工
• - 1981年4月7日：西宮工場竣工
• - 2005年：会社更生法申請、ブルドックソースによる支援
• - 2005年11月1日：ブルドックソース子会社が経営を引き継ぎ、再発足

主な商品

イカリソースは、ウスターソース、とんかつソース、中濃ソースをはじめ、お好み焼きソース、たこ焼きソースなど、多様なソースを製造しています。その他、ケチャップ、ドレッシング、焼肉のたれ、ポン酢なども展開しています。

広告宣伝

イカリソースは、数多くのCMで話題となりました。ザ・ドリフターズ、太平サブロー・シロー、金子信雄、ポパイ、海原やすよ・ともこなど、多彩なタレントを起用したCMは、イカリソースの知名度向上に大きく貢献しました。

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