インダストリアル

インダストリアル・ミュージック

インダストリアル・ミュージック（Industrial Music）は、1970年代後半に登場した電子音楽の一形態です。このジャンルはノイズミュージックから派生しており、工業的なサウンドや機械音を取り入れた楽曲が特徴です。その名称は、1942年に音楽雑誌『The Musical Quarterly』でドミートリイ・ショスタコーヴィチの作品を「産業音楽」と称したことから始まっています。

概要

インダストリアル・ミュージックの定義には広がりがあり、様々なジャンルからの影響を受けています。代表的なアーティストとしては、クラフトワークが挙げられます。彼らはインダストリアルサウンドを電子音楽に取り入れた先駆者であり、機械式の楽器から高度なシンセサイザーやサンプラーへと進化しました。アレクセイ・モンローは、クラフトワークの重要性を強調し、彼らがこのジャンルにおいて初めて成功したアーティストであると指摘しています。

このジャンルの他の影響を受けたアーティストには、スーサイドやヴェルヴェット・アンダーグラウンド、キリング・ジョーク、ジョイ・ディヴィジョンらがいます。スロッビング・グリッスルは1977年に発表したアルバム『The Second Annual Report』の表紙に「INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE」といったフレーズを配置し、これがインダストリアルの出発点となっています。彼らは当時のロックへの反発を表現した独自のスタイルを持ち、没個性的な音楽に反抗する姿勢が見られました。

歴史的背景

インダストリアル音楽の黎明期には、アメリカとイギリスのシーンが共存していました。特に1970年代のイギリスでは、スロッビング・グリッスルやキャバレー・ヴォルテールがこの運動を推進。アメリカのミニストリーも同様に影響を与え、特にアルバム『The Land Of Rape And Honey』ではヘヴィメタル的要素が取り入れられ、産業音楽の新たな方向性を示しました。

アメリカ型インダストリアルは、ロックやヘヴィメタル要素を強く取り入れた「インダストリアル・ロック」として大衆に広まりました。ナイン・インチ・ネイルズやフィア・ファクトリーはその代表的なバンドで、サンプリングやシンセサイザーを利用して独自の音楽性を確立しました。

ヨーロッパにおけるインダストリアル

ヨーロッパのインダストリアルシーンは、よりアンダーグラウンド的な活動が目立っており、特にアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンがその代表的な存在です。彼らの音楽は、ノイズミュージックとの融合を果たし、エレクトロニック・ボディ・ミュージックへと展開しています。

日本におけるインダストリアル

日本では1980年代からインダストリアルを意識したミュージシャンが登場し、特に「ジャパノイズ」として海外で認知されました。秋田昌美のメルツバウはその代表格で、音響効果を重視した作品が評価されています。その他にも、日本のインダストリアルシーンを支えたアーティストが多く存在し、近年も新たな動きを見せています。

影響と展望

インダストリアル・ミュージックは、多くのジャンルに影響を与えてきたことが評価されています。デペッシュ・モード等のバンドがその音源をサンプリングする一方で、テクノやノイズアーティストにもその影響を見出すことができます。今後も、多様な形でのインダストリアル・ミュージックが進化し続けることが期待されます。

もう一度検索