ウルヴァシー

ウルヴァシーの物語

ウルヴァシー（Urvasi）は、インド神話における著名なアプサラスで、特にプルーラヴァス王との恋愛が有名です。彼女は聖仙ナーラーヤナの腿から生まれたとされ、アーユスを含む5人の子どもを持ちました。このロマンチックな物語は、『リグ・ヴェーダ』にその初期の断片的な記述があり、後に『シャタパタ・ブラーフマナ』やプラーナ文献など、より詳細に語られています。

ウルヴァシーは王プルーラヴァスと結婚しましたが、条件がいくつかありました。彼女は、自分の望まないときに近づかないこと、そしてプルーラヴァスの裸体を見せないことを求めました。プルーラヴァスはこれらの約束を守り、二人は幸せに暮らしました。しかし、ウルヴァシーが彼の子を宿したころ、ガンダルヴァたちは彼女をさらおうとしました。アプサラスは通常、ガンダルヴァの妻となる存在であるため、彼女を取り戻そうとしたのです。

ガンダルヴァたちは、ウルヴァシーが大切にしていた仔羊を奪いました。さらに2匹目を奪おうとしたとき、ウルヴァシーは声をあげ、慌てたプルーラヴァスが服も着ずに飛び出しました。その際にガンダルヴァたちが稲妻を放ち、ウルヴァシーはプルーラヴァスの裸体を見てしまい、その結果、彼のもとを去ることになりました。悲しみの中で、プルーラヴァスは各地をさまよい、最終的にある湖でアプサラスの仲間たちと一緒に沐浴しているウルヴァシーを発見します。

はじめはウルヴァシーは再会を望んでいませんでしたが、他のアプサラスたちの勧めでプルーラヴァスと交渉し、年に1回のみ会う約束をしました。プルーラヴァスがその約束の日に現れると、彼のために黄金の館が建設されていて、二人は年に1度、夫婦の時間を過ごすことになりました。こうして5年間が経ち、その間に彼らは5人の子供に恵まれました。

5年目の晩、ウルヴァシーはプルーラヴァスに、ガンダルヴァたちが彼を哀れんで願いを1つ叶えてくれるとの話を伝え、仲間に入れてもらうように助言しました。それに従って、プルーラヴァスは聖なる火の儀式を経て、ガンダルヴァの一員となり、ウルヴァシーと再び共に幸せな時間を過ごしました。この物語は、詩人カーリダーサによって戯曲『ヴィクラモールヴァシーヤ』としても描かれていますが、神話の本来の物語とは多くの点で異なっています。

ウルヴァシーの美しさは広く知られています。彼女を見た神々、ヴァルナとミトラはその魅力に心を奪われ、精液を漏らしてしまったといいます。この精液は地上の水瓶に落ち、そこからアガスティヤとヴァシシュタという2人の聖仙が誕生するという伝説も存在します。また、カシュヤパ仙の息子ヴィバーンダカが沐浴中にウルヴァシーを見かけ、精液を水中に落とした結果、牝鹿がそれを飲み込み、一角仙人と呼ばれる息子が生まれました。

さらには、ウルヴァシーは英雄アルジュナにも求愛しましたが、アルジュナは彼女が自らの先祖にあたる女性であることに気づき、拒絶しました。ウルヴァシーはこの裏切りに怒り、アルジュナに呪いをかけたという逸話もあり、彼女の存在は神話の中で多くの出来事を引き起こしています。

このように、ウルヴァシーの物語は、愛、運命、そして神々の神秘的な絡みを描いた深い内容となっています。

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