エムポックス

エムポックス（サル痘）とは

エムポックス、またはサル痘は、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に属するエムポックスウイルスによって引き起こされる人獣共通感染症です。このウイルスは、低温や乾燥に強く、エーテルに対して耐性がありますが、アルコールやホルマリン、紫外線には容易に不活化されます。

感染症の特徴

サル痘は、天然痘ウイルスとの関連があり、重症度や死亡率が低いとされています。日本では、感染症法により四類感染症として指定されています。特に2022年から欧米を中心に流行し、2022年10月時点で7万7千人以上の感染者が報告されています。この中で、患者の98％が男性の同性愛者であることが明らかになり、差別の拡大が懸念されています。

感染源と経路

自然宿主は、アフリカのリスやサルなどが考えられています。主な感染経路は、感染した動物に噛まれたり、加熱が不十分な肉を摂取したりすることであるほか、ヒトからヒトへの接触感染や飛沫感染もあります。特に密接な接触による感染が多く報告されています。感染者との性的接触も危険因子です。

症状と治療法

潜伏期間は約7日から21日で、初期の症状には発熱や倦怠感が含まれます。その後、顔や手足に水疱や膿疱が現れ、最終的に痂皮が形成されます。通常、発症から2週間から4週間で症状は軽快しますが、死亡率は1％から10％と変動します。

現在、確立された治療法はなく、対症療法が主流ですが、種痘がエムポックスの予防に有効だとされています。

歴史と流行

エムポックスのウイルスは、1958年にポリオワクチンの製造中、研究施設で発見されました。初めての人間への感染は1970年にコンゴ民主共和国で確認され、その後11か国に広がりました。特に、2003年にはアメリカ合衆国での流行がありました。

2022年の流行

2022年にはイギリスで最初の感染例が確認され、以降欧米諸国で感染者が増加しました。WHOが懸念を示し、国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言しました。日本でも2022年に最初の感染者が確認され、2023年には初めての死亡例が報告されています。

結論

エムポックスは、重症度や死亡率は比較的低いものの、流行の影響を受けやすい感染症です。特に、今後も感染経路や治療法、そして社会的な対応が求められるでしょう。感染症に対する正しい知識を持ち、予防に努めることが重要です。

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