カクキュー

合資会社八丁味噌（カクキュー）の歴史と概要

合資会社八丁味噌は、愛知県岡崎市に本社を置く、八丁味噌の老舗蔵元です。創業は江戸時代初期の正保年間（1645～1648年）と伝えられ、400年近い歴史を誇ります。

社名の由来である「カクキュー」は、歴代の当主が名乗ってきた「早川久右衞門」に由来するものです。現在、19代目当主が代表社員として会社を率いています。

明治時代には宮内省への味噌納入を開始、御用達を拝命するなど、高い品質が認められてきました。昭和時代には、赤だし味噌の開発に成功し、大きな売上を記録。現代でも、伝統を守りながら、新たな商品開発や工場見学の受け入れなど、積極的に事業展開しています。

八丁味噌とカクキュー

「八丁味噌」という名称は、特定の蔵元の商標ではなく、岡崎市周辺で伝統的に作られる味噌の総称です。カクキューは、その中でも代表的な存在として知られています。

カクキューの八丁味噌は、三河地方で産出される大豆を使用し、伝統的な製法でじっくりと熟成されています。深いコクと旨みが特徴で、様々な料理に使用できます。

赤だし味噌の開発

カクキューの大きな転機となったのが、昭和30年代の赤だし味噌の開発です。これは、米味噌と豆味噌を混合した新しいタイプの味噌で、関西地方を中心に人気を博しました。

当時、関西では赤だし味噌が量り売りされており、カクキューは大阪の味噌メーカーからの提案を受け、日本海味噌醤油と共同で赤だし味噌の開発に着手しました。

試行錯誤の結果、米味噌70%、八丁味噌30%を配合した赤だし味噌が完成。スーパーマーケットへの小袋詰での販売は大成功となり、カクキューの売上を大きく押し上げました。

地理的表示（GI）登録をめぐる争い

近年、カクキューは「八丁味噌」の地理的表示（GI）登録をめぐる裁判に巻き込まれました。

農林水産省は、愛知県味噌溜醤油工業協同組合をGI登録団体として認定しましたが、カクキューを含む一部の岡崎の味噌蔵は除外されました。これに対して、行政不服審査請求が行われましたが、却下されています。

カクキューは、法廷闘争には参加せず、静観の姿勢をとっていました。

カクキューの施設

カクキューの本社事務所と本社蔵は、国の登録有形文化財にも指定されています。歴史を感じさせる風格ある建物は、岡崎市の景観を彩る重要な建造物となっています。

本社敷地内には、八丁味噌を使った料理が楽しめるフードコート「岡崎カクキュー八丁村」もあります。工場見学も受け付けており、多くの観光客が訪れています。

主な商品

カクキューでは、伝統的な八丁味噌に加え、赤だし味噌、味噌を使った加工品など、様々な商品を販売しています。

三河産大豆八丁味噌
有機八丁味噌
赤だし味噌
味噌煮込みうどん
味噌ラーメン
味噌ソフトクリーム

など、伝統と革新が融合した商品展開が魅力です。

まとめ

合資会社八丁味噌は、伝統を守りながら、常に変化を恐れず挑戦を続ける企業です。その歴史、製品、そして企業姿勢は、日本の伝統産業の未来を示唆しています。今後も、八丁味噌という文化を世界に発信し続けるであろう、老舗味噌蔵元です。

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