カドカワ

カドカワ株式会社（旧社名）

カドカワ株式会社は、2015年10月1日から2019年7月1日まで存在した株式会社KADOKAWA（2代目）の旧社名です。この期間、KADOKAWAとドワンゴの経営統合を象徴する存在として、両社の事業を統合・発展させる役割を担いました。2015年10月1日にKADOKAWA・DWANGOから社名を変更し、2019年7月1日に初代KADOKAWAの事業を承継し、現在のKADOKAWA（2代目）へと商号変更しました。

沿革

経営統合の背景

KADOKAWA（後のKADOKAWA Future Publishing）とドワンゴは、2010年10月に包括的業務提携、2011年5月には資本提携を締結し、電子書籍や動画配信などの分野で協力関係を強化していました。2014年5月14日、両社は経営統合による持株会社設立に基本合意し、発表しました。

当時の記者会見で、KADOKAWA取締役相談役兼ドワンゴ取締役であった佐藤辰男氏は、「プラットフォームとコンテンツを融合させ、魅力を強化する」と経営統合の狙いを語りました。また、デジタル対応の加速や、コンテンツとテクノロジーの融合、ゲーム事業や電子書籍事業でのシナジー効果を見込み、日本のコンテンツを海外に配信することを目指すと述べました。

ドワンゴの川上量生会長は、「ネット専業ではなく、コンテンツとプラットフォームの両方を運営するのが最適」と主張しました。KADOKAWAの角川歴彦会長は、ドワンゴを高く評価し、「サブカルチャーという共通の基盤がある」と両社の親和性を強調しました。

経営統合の目的

この経営統合は、デジタル化とインターネット技術の発展を背景に、KADOKAWAのコンテンツとリアルプラットフォーム、ドワンゴの技術力とネットプラットフォームを融合させ、ネット時代の新しいビジネスモデルを確立することを目指していました。これにより、「世界に類のないコンテンツプラットフォーム」を構築することが目標とされました。

2014年10月に設立された共同持株会社である株式会社KADOKAWA・DWANGOは、2015年4月にKADOKAWAのゲームメディア関連事業などを継承し、事業持株会社となりました。同年7月には教育事業に参入し、同年10月にはKADOKAWAとドワンゴの経営統合を内外に示すため、両社の名前を組み合わせたカドカワ株式会社へと商号を変更しました。

その後の展開

2017年7月、カドカワ株式会社はゲーム情報ポータル事業本部を株式会社Gzブレインに分割し、再び純粋持株会社体制に移行しました。2019年2月には、子会社のドワンゴが特別損失を計上したことを受け、同年4月にはグループ経営体制を刷新しました。ドワンゴ、Gzブレイン、大百科ニュース社をカドカワ株式会社の直接子会社から株式会社KADOKAWA（初代法人）の子会社へ異動させました。

2019年7月、事業持株会社化によるIP事業力の強化、ガバナンスの強化、経営の効率化を目的として、子会社である株式会社KADOKAWA（初代法人）の全事業をカドカワ株式会社へ承継する会社分割を実施し、再び事業持株会社に移行しました。同時に、株式会社KADOKAWA（二代目法人）へと商号変更しました。

年表

※正式な経営統合日以前の「前史」的な内容も含む。

2010年10月: 株式会社角川グループホールディングスと株式会社ドワンゴが、電子書籍や各種コンテンツの配信に関して包括業務提携を締結。
2011年5月: 株式会社角川グループホールディングスと株式会社ドワンゴが資本提携を締結。
2011年11月: 『ニコニコ静画（電子書籍）』と『BOOK☆WALKER』とのWEB漫画誌「角川ニコニコエース」をサービス開始。
2013年3月: 角川グループホールディングスが、ドワンゴの広告代理業子会社である株式会社スカイスクレイパーの一部株式を取得し、株式会社角川グループホールディングスと株式会社ドワンゴによる広告に関わる合弁事業会社「株式会社スマイルエッジ」を設立。
2014年5月14日: 株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴが統合契約書を締結し、株式移転計画書を発表。
2014年6月21日: KADOKAWAの定時株主総会で経営統合の議案が承認。
2014年6月26日: ドワンゴがグループ運営を見据え、ドワンゴコンテンツ、ドワンゴモバイル、キテラスの3社を10月1日付でドワンゴに吸収合併することを発表。
2014年7月3日: ドワンゴの臨時株主総会で経営統合の議案が承認。
2014年9月25日: ドワンゴがグループ運営を見据え、ドワンゴ・ユーザーエンタテインメントを11月1日付でドワンゴに吸収合併することを発表。
2014年10月1日: 株式会社KADOKAWAと株式会社ドワンゴによる統合会社「株式会社KADOKAWA・DWANGO」設立。佐藤辰男が代表取締役社長に、川上量生が代表取締役会長に就任。東京証券取引所市場第一部に上場。
2014年10月6日: ダ・ヴィンチ×niconico「次にくるマンガ大賞」創設。
2014年11月13日: 子会社の株式会社ドワンゴが株式会社ニワンゴの発行済み全株式を取得し完全子会社化すると発表。連結子会社である株式会社スマイルエッジをドワンゴの完全子会社にし、ドワンゴに事業移管した上で解散すると発表。
2014年12月8日: エイベックス・グループ・ホールディングスが保有する全株式を売却し、エイベックスとKADOKAWA・DWANGOの資本関係が終了。
2014年12月25日: 子会社の株式会社ドワンゴが株式会社バンタンの全株式を取得し子会社化。
2014年12月24日: KADOKAWAのハイエンド書籍編集部をドワンゴが継承し、ドワンゴとKADOKAWAの共同技術書出版レーベル「アスキードワンゴ (ASCII DWANGO)」を設立。
2014年12月25日: 連結子会社ドワンゴがバンタンの全株式を取得し子会社化。
2015年4月1日: 子会社の株式会社KADOKAWAのゲームメディア関連事業、マーケティングリサーチ事業などを簡易吸収分割により承継。
2015年6月23日: 株主総会および取締役会を経て、川上量生が代表取締役社長に、佐藤辰男が代表取締役会長に就任。
2015年7月9日: KADOKAWA DWANGOが手がける新たな教育事業として、高等学校設立に向け準備を開始。
2015年10月1日: 商号をカドカワ株式会社に変更。KADOKAWAとドワンゴの経営統合を強く示すため、両社の名前を組み合わせた商号にする。英語表記は「KADOKAWA DWANGO CORPORATION」のまま。
2015年10月14日: 学校法人角川ドワンゴ学園の設立及び通信制高等学校「N高等学校」の2016年4月開校を発表。
2015年11月28日: 電撃文庫×niconicoのメディアミックス企画、「多数決ドラマ」を開始。
2015年12月: 子別指導塾「坪田塾」を運営する株式会社ビビッドとの共同出資会社「株式会社N塾」を設立。
2016年1月12日: 学校法人高宮学園代々木ゼミナールと共同で「N高等学校」の提携通学コース「代ゼミNスクール」の開校を発表。
2016年4月1日: 学校法人角川ドワンゴ学園が「N高等学校」を開校。
2016年5月1日: 連結子会社KADOKAWA PICTURES AMERICA, INC.がYEN PRESS, LLCの持分の51.0%を取得し子会社化。各地にネット教育を活用した教育拠点をつくる「Nセンター」プロジェクトを開始。
2016年7月14日: 双方向学習アプリ『N予備校』の一般向け提供開始。
2017年5月10日: 株式会社大百科ニュース社を設立。
2017年6月22日: 株主総会等を経て、佐藤会長が代表権のない取締役相談役に、角川相談役が取締役会長に就任。
2017年6月30日: 株式会社大百科ニュース社がニコニコ大百科の事業を吸収分割。
2017年7月3日: ゲーム情報ポータル事業を新設する株式会社Gzブレインに分割し、再び純粋持株会社体制に移行。
2017年10月: オンライン学習サービスN予備校の運営をドワンゴに集約。
2017年11月: KADOKAWAの無料マンガサイト『ComicWalker』とドワンゴの無料マンガアプリ『ニコニコ漫画』の連携プロジェクトを始動。
2018年4月1日: 連結子会社株式会社ブックウォーカーが、株式会社ドワンゴから株式会社トリスタの全株式を譲受し、カドカワグループの書籍関連サービスを集約。
2018年6月22日: 株主総会等を経て松原眞樹取締役が代表取締役専務に就任。
2018年9月25日: 『BOOK☆WALKER』と『ニコニコ書籍』のスマートフォンアプリを統合。
2018年12月14日: 株式会社ドワンゴ、株式会社KADOKAWA、株式会社カラー等と共同で、VTuberを起用したモーションキャプチャアニメの制作等を行う合弁会社「株式会社リド」を設立。
2019年2月13日: 松原眞樹代表取締役専務が代表取締役社長に就任。
2019年4月1日: 子会社管理事業の一部を株式会社KADOKAWAへ会社分割。株式会社ドワンゴ、株式会社Gzブレイン、株式会社大百科ニュース社がカドカワ株式会社の子会社から株式会社KADOKAWAの子会社へ異動。
2019年4月1日: 電撃文庫×niconicoによるPC用ブラウザゲーム『エンゲージプリンセス』をサービス開始。
2019年4月1日: KADOKAWAグループのDXを推進するため、戦略的ICTサービス企業としてKADOKAWA Connectedを設立。
2019年6月20日: 定時株主総会後、井上伸一郎が当社代表取締役副社長に就任。
2019年7月1日: 子会社・株式会社KADOKAWA（株式会社KADOKAWA Future Publishingに商号変更）のビルディング・ブックセンターとKADOKAWA KEY-PROCESSの株式所有に関わる事業を除く全事業を簡易吸収分割により承継し、株式会社KADOKAWA（二代目法人）に商号変更。
2019年10月1日: 当社のIPクリエイション事業本部コミック＆キャラクター局電撃ゲームメディア編集部（コミックコンテンツ編集課を除く）を会社分割により、連結子会社の株式会社Gzブレインへ継承し、Gzブレインは株式会社KADOKAWA Game Linkageに商号変更し、東京都文京区へ本店移転。
2019年11月1日: 英語圏での事業拡大を目的にカナダのAnime News Network Inc.を買収。

経営陣

2019年6月20日時点の体制は以下の通りです。

代表取締役社長：松原眞樹（KADOKAWA代表取締役社長）
代表取締役副社長：井上伸一郎（KADOKAWA代表取締役副社長、角川アーキテクチャ代表取締役社長）
取締役会長：角川歴彦（KADOKAWA取締役会長、ところざわサクラタウン代表取締役会長、角川文化振興財団理事長、アニメツーリズム協会理事長）
取締役：関谷幸一（角川アップリンク代表取締役社長）
取締役：芳原世幸
取締役：安本洋一
取締役：川上量生
取締役：夏野剛（ドワンゴ代表取締役社長、ムービーウォーカー代表取締役会長）
社外取締役：船津康次（トランスコスモス代表取締役会長兼CEO）
社外取締役：星野康二（スタジオジブリ代表取締役会長）
社外取締役：森泉知行
社外取締役：高須武男
常勤監査役：髙山康明
常勤監査役：渡辺彰
社外監査役：渡邊顯
社外監査役：新田正実

グループ会社・団体

括弧内はカドカワ（KADOKAWA・DWANGO）による直接所有期間です。

株式会社KADOKAWA（2014年10月 - 2019年6月）
株式会社ドワンゴ（2014年10月 - 2019年3月）
株式会社大百科ニュース社（2017年5月 - 2019年3月）
株式会社Gzブレイン（2017年7月 - 2019年3月）
学校法人角川ドワンゴ学園

その他

取引先

紀伊國屋書店 - 松原眞樹が社外取締役を務めています。
アニメイトホールディングス
カルチュア・コンビニエンス・クラブ
Amazon.com - KADOKAWAグループのWebサービスでAWSを活用。

外部リンク

KADOKAWA 企業情報
KADOKAWAオフィシャルサイト
* カドカワ - メディア芸術データベース

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