カラマンダリン

カラマンダリン：晩春の贈り物、濃厚な甘みと酸味のバランス

カラマンダリンは、ミカン科ミカン属に属する柑橘類です。別名カラオレンジ、カラとも呼ばれ、ウンシュウミカンとキングマンダリンを掛け合わせることで誕生しました。1915年の開発以来、世界的には広く栽培されているわけではありませんが、日本では限られた地域で商業生産が行われています。独特の風味と、他の柑橘類とは異なる収穫時期が、この柑橘類の魅力を高めています。

誕生から品種改良まで

カリフォルニア大学リバーサイド校のフロスト博士によって1935年に命名されたカラマンダリンは、尾張系ウンシュウミカンとキングタンゴールの交配から生まれた品種です。樹はウンシュウミカンに似ており、枝が横に広がりやすく、多くの実をつけます。果実はやや大きめで楕円形、果皮はやや厚く剥きにくいのが特徴です。果肉は鮮やかな濃い橙[[色]]で、濃厚な味わいが特徴です。しかし、未熟な状態では酸味が強い点が挙げられます。また、種子が非常に多く、これが商業生産における課題の一つとなってきました。

その課題を克服しようと、カラマンダリンに吉浦ポンカンを受粉させた珠心胚実生から「南津海」という品種が1978年に山口県で開発されました。南津海はカラマンダリンとよく似た特徴を持つため、市場では区別せずに扱われることが多いです。

栽培と収穫

カラマンダリンの完熟期は4月上旬と、一般的な柑橘類と比べて遅く、無霜で温暖な気候が栽培に適しています。カリフォルニア州リバーサイドでは3月上旬から6月下旬にかけて食されています。露地栽培が一般的ですが、ハウス栽培への取り組みも進められています。収穫までの期間は、約1年間樹上で育て、十分な養分を蓄えさせることで、糖度を高めます。収穫せずに樹上においても品質が低下することはありませんが、果皮と果肉が分離する「浮皮」と呼ばれる現象が起こることがあり、浮皮したカラマンダリンは傷みやすく、風味も落ちてしまうため注意が必要です。

日本での栽培と流通

日本へは1955年に導入され、三重県で栽培が始まりました。当初は酸味が強く、カンキツかいよう病にも弱かったことから、商業生産は進んでいませんでした。しかし、その後、味の良さや病害対策が確立されると、生産量は増加しました。特に1990年代以降は生産量が増え、現在では愛媛県が生産の中心地となっています。愛媛県内では松山市周辺の島々が主な産地であり、2007年には「まつやま農林水産物ブランド」にも認定されています。三重県や和歌山県でも盛んに栽培されています。2013年の日本の栽培面積は146ヘクタール、出荷量は2,592トンに達し、愛媛県がその65％を占めています。

収穫時期は3～4月で、出荷前に減酸処理が行われます。減酸には2週間から1ヶ月かかり、市場に出回る時期は4～5月です。生産現場では「晩生みかん」や「春のみかん」として扱われています。

カラマンダリンの味わい

カラマンダリンは、濃厚で甘みと酸味のバランスがとれた味わいが特徴です。その独特の風味は、多くの消費者を魅了しています。日本の市場では、他の柑橘類と比べて収穫時期が遅いため、希少性も高く評価されています。独特の風味と、晩春の時期に味わえるという特徴が、カラマンダリンを特別な柑橘類として位置づけています。

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