キョンシー

キョンシー

キョンシー（簡体字: 僵尸; 繁体字: 殭屍; 拼音: jiāngshī）は、中国の伝説に登場する死体の妖怪であり、日本でもその名前が知られるようになりました。日本語では「きょんしー」と呼ばれ、映画やマンガに頻繁に取り上げられています。キョンシーは硬直した状態でありながら、長年にわたり腐敗することなく動き回るという特性を持っています。

概要

中国では、死亡した体が埋葬される前に室内に安置されていると、夜になると勝手に動き出すことがあるという言い伝えから、キョンシーの存在が語られるようになりました。この名は「僵」（死体が硬直すること）と「尸」（死体）に由来しています。

キョンシーの特徴は、まるで生きているかのように見えながら、実は動くことができる異形の存在であることです。彼らは草木のように生前の姿を保っており、肌は腐敗せず、髪の毛も生え続けるかのようです。性格はとても凶暴で、人肉を欲しがる食人妖怪として描かれています。さらに長い年月が過ぎると、空を飛ぶ力を持つなど、超常的な能力を得ると考えられています。

伝承の起源

伝説によれば、清朝の時代に、労働者の死体を故郷に運ぶために道士が呪術によって生き返らせたことが、キョンシーの起源とされています。この伝承には「趕屍（かんし）」という方法が関連付けられています。また、文献に残る記録では、亡くなった人を運ぶ際に道士が行った儀式や道具の使用がよく語られています。例えば、特別な水を使って導く人がいることで、無事に故郷に送られるというものです。

文学とメディア

キョンシーは、明代から清代にかけて数多くの文学作品に登場しており、有名なものでは袁枚の『子不語』や紀暁嵐の『聊斎志異』などがあります。また、中国の古典『西遊記』にもキョンシーが描かれており、視覚的な特徴や行動が詳述されています。

日本においては、1980年代後半に公開された映画『霊幻道士』や『幽幻道士』によってキョンシーが広まることとなり、これ以降、関連商品やメディアが多数登場しました。この映画におけるキョンシーのイメージは、特に知名度が高く、生き生きとした姿が描かれています。

キョンシーの特徴

キョンシーは、身体が硬直しており、ほとんどの関節には動きがありません。そのため、特有の跳ねるような移動を行いますが、実際には足首を使って跳ぶように移動します。生きている人間と同様に動くことができる場合もありますが、普段は腕を前に伸ばしながら進む姿が一般的です。

また、キョンシーは強い嗅覚を持っており、人間の吐く息を感知してそれに寄ってくるため、息を止めて接近を避ける方法が伝承で語られています。さらに、日中の光に当たるとダメージを受けるため、基本的には夜行性の生物とされています。キョンシーに額に貼られた符があると、道士に操られることもあります。重要な点として、噛まれたり傷を負った者は、時間が経つとキョンシーになる危険があります。

作品におけるキョンシー

キョンシーに絡む多くの作品が日本や海外で制作され、特に映画『霊幻道士』がその人気を決定づけました。多くの映画やゲーム、マンガに登場し続け、近年までキョンシーは多くのクリエイターに影響を与える存在となっています。キョンシーは民間伝承に由来しながらも、時にはコミカルでユーモラスな描写がされるなど、創作の幅は広がる一方です。

このように、キョンシーは中国文化において興味深い地位を持ち、民俗学的な要素と現代のエンターテイメントの融合を果たし、今も多くの人に親しまれています。

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