コンコルド

コンコルド

コンコルド（フランス語: Concorde）は、イギリスのBACとフランスのシュド・アビアシオンによって共同で開発された超音速旅客機です。この機体は、1969年3月1日に試験として初飛行を行い、1970年11月にはマッハ2を突破する速度を記録しました。コンコルドは1976年1月21日に商業運航を開始し、主にエールフランスとブリティッシュ・エアウェイズによって運航されていました。しかし、2000年の墜落事故や2001年のアメリカ同時多発テロ事件が影を落とし、2003年には運航が終了し、全機が退役しました。

概要

コンコルドは計20機が製造され、その中には2機のプロトタイプと16機の量産型が含まれます。発表当初、複数の航空会社が導入を検討したものの、環境問題や燃費の悪さなどが影響し、最終的にはエールフランスとブリティッシュ・エアウェイズの2社による運航にとどまりました。コンコルドは、成層圏である5万5千から6万フィート（約20,000 m）をマッハ2.2で飛行する能力を持つ、唯一の超音速の定期旅客機です。この機体は、特にニューヨークとロンドンの路線において、その美しさと高速度で多くの旅行者を魅了しました。

最大速度はマッハ2.02（約2180 km/h）、航続距離は7,250 kmに達します。乗客定員は最大で128人ですが、実際にはエコノミークラスに近いシートピッチのため、100席程度が一般的でした。また、コンコルドにはエレボン3枚ずつが搭載されており、特有の翼のデザインが超音速飛行を可能にしました。

歴史的背景

コンコルドの開発は、1950年代からの超音速旅客機の競争に起因しています。イギリスとフランスは、各自の開発計画を統合し、1962年に共同開発の協定を結びました。その結果、開発が進むにつれ、世界中の多数のフラッグキャリアから100機を超える注文が寄せられました。1976年にはエールフランスとブリティッシュ・エアウェイズによって運航が開始され、フランス政府は自国の航空機を宣伝するために、各国の主要空港でデモ飛行を行いました。

しかし、商業的には厳しい状況が続きました。ソニックブームによる騒音問題、環境規制、そして高い運賃が影響し、多くの航空会社が発注をキャンセルしました。結局、実際に製造されたのは16機で、1976年には製造中止が決定されました。

商業的失敗と墜落事故

コンコルドは、長距離の滑走路を必要とし、音速を超える際の騒音から多くの地域での運航が制約されました。加えて、運賃の高さも利用者を減少させる要因となりました。運航していたエールフランスは、2000年7月に発生した墜落事故の影響を受け、その後の運航再開目指すも厳しい状況が続きました。2001年の同時多発テロ事件後、航空需要が低迷し、2003年には両社が運航停止を発表しました。

技術的特徴

コンコルドは当時革新的な技術が盛り込まれており、アナログ式のフライ・バイ・ワイヤが採用されました。特有のドループ・ノーズが設計されており、着陸時の視界を確保する工夫がなされています。エンジンにはロールス・ロイス オリンパス593が使用され、特に離陸時や超音速への加速時にパフォーマンスを発揮しました。しかし、これらの高性能ながらも高コストな維持管理が、多くの航空会社による導入を妨げました。

現在の状況

現在、コンコルドは運航を終了していますが、作られた機体は多くが博物館に保存され、往時の姿を残しています。また、コンコルドに関連する遺産は多く、映画や音楽にもその名を刻んでいます。超音速の旅客機としての役割は果たせなくなりましたが、コンコルドの存在は航空史の中で特別な位置を占めています。

もう一度検索