サラゼン

サラゼン：伝説のサラブレッド競走馬

サラゼン(1921年-1940年)は、アメリカ合衆国のサラブレッド競走馬として、1920年代のアメリカ競馬界を席巻した名馬です。小柄ながら類まれな強さと気迫で数々の勝利を収め、2年連続でアメリカ年度代表馬に選出されるなど、輝かしい功績を残しました。1957年にはアメリカ競馬殿堂入りを果たし、その名声は現在も語り継がれています。

困難な始まりと華々しいデビュー

フィル・T・チン大佐の所有する牧場にて生産されたサラゼンは、競走馬としてはやや気性が荒く、デビュー前に去勢手術が行われました。体高は約152cmと、牡馬としては小柄な体格でした。しかし、その小柄な体からは想像もできないほどの力強さを秘めており、2歳でデビューすると、いきなり3連勝を飾ります。その後、ヴァージニア・フェア・ヴァンダービルト氏に高額で売却され、調教師もマックス・ヒルシュ氏に変わりましたが、その年の7戦全てで勝利を収めるという驚異的な活躍を見せました。シャンペンステークスなど、重要なステークス競走も制覇しています。

3歳シーズンと国際競走での勝利

3歳シーズンは、当初体調不良によりシーズン前半の大競走を回避せざるを得ませんでした。しかし、復帰後はその強さを改めて見せつけます。カーターハンデキャップやマンハッタンハンデキャップといった重要な競走を制覇すると、勢いに乗って国際競走インターナショナルスペシャル第3戦（ラトニア競馬場）に出走。ベルモントステークス優勝馬マッドプレイ、ケンタッキーオークス優勝馬プリンセスドリーン、そしてフランスから参戦したエピナードといった強豪を相手に、見事優勝を飾りました。この活躍により、サラゼンはアメリカ年度代表馬に選出され、最優秀3歳牡馬にも選ばれました。

4歳シーズンと2度目の年度代表馬

せん馬となったサラゼンは、その後も長く第一線で活躍を続けます。4歳シーズンにはディキシーハンデキャップなど、10戦中5勝を挙げ、前年に続きアメリカ年度代表馬に輝きました。5歳シーズンもメトロポリタンハンデキャップなど勝利を収めていますが、徐々に衰えが見え始め、この年はアメリカ最優秀古牡馬という評価に留まりました。6歳と7歳シーズンは勝ち星に恵まれず、1928年に引退することとなります。

引退後と殿堂入り

引退後はケンタッキー州レキシントンのブルックデールファームで余生を過ごし、1940年12月12日に19歳で亡くなりました。しかし、サラゼンの功績は長く人々の記憶に残ることになります。1957年、アメリカ競馬名誉の殿堂博物館は、サラゼンの輝かしい競走成績を称え、同馬を殿堂馬として選定しました。さらに1999年には、ブラッド・ホース誌の選ぶ20世紀のアメリカ名馬100選において、第92位にランクインするなど、その名声は揺るぎないものとなっています。

サラゼンの主な勝鞍

サラゼンは数々の競走で勝利を収めましたが、特に以下の競走での勝利は彼の偉業を象徴しています。(当時のグレード制は導入されていませんでした)

1923年（2歳） 10戦10勝: シャンペンステークス、オークデールハンデキャップ、ナショナルスタリオンステークス、ローレルスペシャルなど
1924年（3歳） 12戦8勝: カーターハンデキャップ、マンハッタンハンデキャップ、サラナクステークス、インターナショナルスペシャルNo.3、アヴァーンハンデキャップ、メリーランドハンデキャップ、ヒューロンハンデキャップ、フリートウィングハンデキャップなど
1925年（4歳） 10戦5勝: アヴァーンハンデキャップ（連覇）、ディキシーハンデキャップ、フリートウィングハンデキャップ（連覇）、ガズデン・D・ブライアンメモリアルハンデキャップなど
1926年（5歳） 14戦4勝: メトロポリタンハンデキャップ、ディキシーハンデキャップ（連覇）など

サラゼンは、その小柄な体格と気性の荒さというハンデを克服し、類まれな才能と努力で伝説的な競走馬としての地位を確立しました。彼の功績は、現代の競馬界においても高く評価され続けています。

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