ザ・ベスト・オブ

レディオヘッド初のベスト・アルバム『ザ・ベスト・オブ』は、彼らの初期から中期にかけての音楽活動を網羅した作品としてリリースされました。収録内容は、1stアルバム『パブロ・ハニー』から6thアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』までに発表されたシングル曲が中心となっています。しかし、このアルバムのリリースには、レディオヘッドのメンバー自身は関与していません。

背景には、バンドと当時のレコード会社EMIとの契約関係があります。7thアルバム『イン・レインボウズ』のリリース直前にEMIとの契約を解除したレディオヘッドに対し、EMIが独自に選曲・販売を行ったのが本作です。バンドメンバーは、過去のインタビューでベスト・アルバムのリリースに否定的な見解を示しており、今回のEMIの決定に対し、非難の意を表明しています。この一件が、結果的にバンドとEMIの関係を完全に断ち切る要因となりました。

アルバムは2枚組で、Disc1には代表的なシングル曲が収録されています。「ジャスト」「パラノイド・アンドロイド」「カーマ・ポリス」「クリープ」といった、彼らのキャリアを代表する楽曲が並びます。Disc2はボーナス・ディスクとなっており、「エアバッグ」「アイ・マイト・ビー・ロング」「ゴー・トゥ・スリープ」など、アルバム収録曲の中でも人気の高い楽曲が収録されています。日本盤にはボーナス・トラックとして「ユー・アンド・フーズ・アーミー?」が追加されています。

さらに、ミュージック・ビデオを収録したDVDも同時発売されました。「クリープ」から「2 + 2 = 5 (ライヴ)」まで、彼らの革新的な映像作品を網羅しており、音楽ファンだけでなく、映像クリエイターからも高い評価を受けています。

『ザ・ベスト・オブ』は、レディオヘッドの意向とは異なる形でリリースされた作品ではありますが、彼らの初期の音楽性を手軽に楽しめる入門編として、一定の評価を得ています。しかし、バンドの意向を無視したリリースであったため、複雑な背景を持つ作品としても知られています。

もう一度検索