シアトリカル

シアトリカル：芝の王者とその血脈

シアトリカルは、1987年のエクリプス賞最優秀芝牡馬に輝いたアイルランド出身の競走馬、そして成功した種牡馬です。その半弟にはタイキブリザード、近親にはパラダイスクリークやデビッドジュニアといった著名な種牡馬がおり、優れた血統を受け継いでいました。

華麗なる競走馬時代

1984年10月にデビューしたシアトリカルは、3戦無敗の快進撃でエプソムダービーに挑戦しますが、7着に敗れます。続くアイリッシュダービーでも2着と、G1競走では勝利を掴むことができませんでした。その後、アメリカに渡り、1986年のブリーダーズカップ・ターフで2着と好走します。

転機となったのは1987年、モット厩舎への転厩です。この年は9戦7勝という圧倒的な成績を収め、そのうち6勝がG1競走でした。安定した強さを示し、負けた2戦も2着と3着という高いレベルを維持しました。そして、引退レースとなったブリーダーズカップ・ターフでは、凱旋門賞馬トランポリーノを半馬身差で下し、名実ともに1987年の芝のチャンピオンに君臨しました。主な勝ち鞍には、ブリーダーズカップ・ターフ、ターフクラシック、マンノウォーステークス、ハイアリアターフカップ、ボーリンググリーンハンデキャップ、ソードダンサーハンデキャップなど、錚々たるG1競走が名を連ねています。

種牡馬としての成功

1988年、シアトリカルは種牡馬としてのキャリアをスタートさせます。アメリカで多くの優秀な産駒を輩出し、20頭以上のG1勝ち馬を送り出しました。日本でも、エリザベス女王杯と阪神3歳牝馬ステークスを制したヒシアマゾンなど、数多くの活躍馬が誕生し、100頭以上の産駒が輸入されるほどの人気ぶりでした。母父としても、アメリカの芝G1を7勝したイングリッシュチャンネルや凱旋門賞優勝馬レイルリンクなど、世界的な競走馬を輩出しています。

代表的な産駒には、アイリッシュダービー優勝馬ザグレブ（その産駒にはコスモバルクとコスモサンビームがいる）、インターナショナルステークス優勝馬ロイヤルアンセム、メルボルンカップ優勝馬メディアパズル、フランス1000ギニー優勝馬マドレーヌズドリーム、サンタアニタオークス優勝馬ゴールデントリートなどがいます。他にも数多くのG1勝ち馬を輩出し、その種牡馬としての成功は揺るぎないものとなりました。

2009年に種牡馬を引退した後も、2012年8月31日まで余生を送り、30歳で安楽死となりました。

日本競馬への貢献

シアトリカルの血を受け継いだ日本調教馬は、ヒシアマゾン、タイキエルドラド、バーボンカントリー、ゲイリーキッス、ビッグバイキング、ヒシピナクル、ゲイリーファンキーなど、多くの活躍馬がいます。これら競走馬の活躍は、日本競馬においてシアトリカルの血統がいかに重要な役割を果たしていたかを示しています。さらに、ブルードメアサイアー（母の父）としては、イイデケンシン、ワナ、アーバンストリート、アポロマーベリックなどの活躍馬を輩出しました。

シアトリカルは競走馬として、そして種牡馬として、競馬史に燦然と輝く偉大な存在です。その血統は今もなお、世界中の競馬界に大きな影響を与え続けています。

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