ジスモンダ

ジスモンダ：運命に翻弄される公爵夫人の愛と誓い

ヴィクトリアン・サルドゥによる4幕のメロドラマ『ジスモンダ』(Gismonda)は、1450年のアテネを舞台に、未亡人公爵夫人ジスモンダの壮絶な運命を描いた作品です。1894年、フランスのテアトル・ド・ラ・ルネサンスで初演され、その後、アンリ・フェヴリエによってオペラにも脚色されるなど、高い人気を誇りました。

第1幕：息子を救った男

物語は、アクロポリスのふもとで始まります。アテネ公爵の未亡人であり、幼い息子フランチェスコの摂政でもあるジスモンダは、野心的な宮廷官ザッカリアに囲まれていました。ザッカリアはトルコと結託し、公爵領の支配を企み、ジスモンダの息子フランチェスコを排除しようとします。

ザッカリアの手下グレゴレスと共に、フランチェスコをトラのいる縦穴に突き落とす計画を実行に移そうとしますが、ジスモンダは息子の危機を目の当たりにします。絶体絶命の状況で、一人の男が危険を顧みずフランチェスコを救出します。その男はアルメリオという平民でした。

ジスモンダは、息子の命を救ってくれたアルメリオに、公爵領を分かち合うことを誓います。しかし、平民であるアルメリオとの結婚を受け入れられないジスモンダは、誓いから逃れる方法を探し始めます。

第2幕：修道院での噂とアルメリオの活躍

ジスモンダはフランチェスコと共に修道院に隠遁しますが、フランチェスコは奇妙な病に苦しんでいます。修道院では、ジスモンダとアルメリオの結婚の噂が広がっていました。一方、アテネでは疫病や海賊襲来といった災害が発生し、人々はジスモンダの誓いを破ったことによる天罰だと非難します。

アルメリオは、海賊討伐に自ら出陣し、その武勇でソンラ伯爵の称号を得ます。凱旋するアルメリオを前に、ジスモンダは教皇からの返答を受け取ります。それは、アルメリオと結婚するか、修道女になるかの選択を迫るものでした。

第3幕：宮殿での葛藤

民衆の反感と、ザッカリアの陰謀に脅えるジスモンダは、アルメリオと結婚することを決意しますが、まだ彼への愛情はありません。アルメリオはジスモンダへの愛を告白し、爵位や富よりも彼女との結婚を望むと訴えます。ジスモンダはアルメリオと結婚し、公然と誓いを破棄することを約束します。

第4幕：真実の露呈と愛の成就

ジスモンダはアルメリオとの密会を重ね、彼への愛を自覚します。しかし、ザッカリアとグレゴレスは、アルメリオ暗殺を企てます。ジスモンダはザッカリアを殺害し、その事実を公表します。さらに、グレゴレスの自白によって、息子を危険にさらした真犯人が明らかになります。

全ての真実が明かされた後、ジスモンダはアルメリオへの愛を公言し、彼と結婚してアテネの新公爵夫人となります。民衆は新しい指導者たちを祝福し、物語は希望に満ちた幕切れを迎えます。

制作と関連作品

初演では、サラ・ベルナールがジスモンダ役を演じ、大成功を収めました。この劇は、アルフォンス・ミュシャによるポスター絵画や、アンリ・フェヴリエによるオペラなど、様々な関連作品を生み出しました。また、小惑星にも『ジスモンダ』の名が付けられていますが、これはボッカチオの『デカメロン』に由来するものです。

『ジスモンダ』は、愛と裏切り、運命と選択、そして人間の弱さと強さを描いた、今もなお人々を魅了する名作です。

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