スピネル

スピネルとは

スピネル（英: spinel）は、酸化鉱物の一種であり、尖晶石（せんしょうせき）とも呼ばれます。その化学式は MgAl2O4 で、結晶系は等軸晶系に分類されます。名前の由来はラテン語の「棘」（spina）にあり、特徴的な八面体の結晶形状がその名にふさわしい印象を与えます。

産出地

スピネルは主にミャンマー、スリランカ、ナイジェリアなどで採掘されます。これらの鉱物は石灰岩や片麻岩、蛇紋岩、かんらん岩に存在しています。この地質的な多様性から、さまざまな色合いのスピネルが産出されます。

性質・特徴

スピネルの色は非常に多彩で、赤からピンク、青、紫、緑、オレンジ、褐色、さらには黒色まで様々です。赤およびピンクは微量のクロムが、青および紫は鉄の影響で発色します。また、コバルトを含むものは鮮やかな青色に変化し、これをコバルトスピネルと呼びます。

特にミャンマー産のレッドスピネルはその色合いが非常に美しく、価格も高騰しています。対して、スリランカではレッドは少なく、ピンクが美しいものがよく採れます。中央アジアのピンクスピネルは希少で、マダガスカルでもわずかに見られます。ナイジェリアでは「ブルーガーナイト」という青いスピネルが得られますが、これには亜鉛が含まれており、その亜鉛やコバルトが色の特徴を決定づける要素とされています。

特殊効果

スピネルにはキャッツアイやカラーチェンジ、スター効果といった特殊な光学的効果が見られるものがあります。特にスリランカのものは有名で、地色がチョコレート色のものが多いため、コレクター向けとして人気があります。ただし、これらの効果は価格に直接結びつくものではありません。

用途・加工法

主に宝石として加工され、美しさが高く評価されています。スピネルはその耐久性と美観から、アクセサリーや装飾品として価値を持つ存在です。

歴史

スピネルは長い間、ルビーと誤解されていました。特に、「黒太子のルビー」と呼ばれる石は、実際にはレッドスピネルです。このような歴史的な混同により、スピネルはルビーほどの評価を受けられませんでしたが、1783年に鉱物学者のジャン・バティスト・ルイ・ド・ロメ・ド・リルが、スピネルを別の鉱物として位置づけたことから、次第にその存在が認知されるようになりました。また、かつては無色のスピネルがダイヤモンドに似た石として取り扱われたこともあります。合成技術の発展により、現在ではさまざまなスピネルが人工的に製造されています。

正の結晶構造

スピネルはスピネル型結晶構造を持つ化合物の一つで、多くの電子材料にとって重要な役割を果たします。例えば、フェライトやNTCサーミスタ、マンガン酸リチウムなどがその例です。これらはリチウムイオン二次電池の正極材料等に利用されています。

スピネルグループ

スピネルは現在、スピネルスーパーグループの中でオキシスピネルグループ及びスピネルサブグループに分類されています。このグループには、キュプロスピネルや鉄スピネル、亜鉛スピネルなど、さまざまな種類の鉱物が属しています。

スピネルはその魅力的な見た目と多様な特性から、宝石界において注目され続けています。

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