スフミ

スフミ（Sukhumi）

スフミは、黒海に面した美しい都市で、自治区アブハジアの首都です。特に、アブハズ語では「アクワ」と呼ばれるこの場所は、国際的にはグルジアの一部として扱われる一方で、ロシアなど限られた国々からは独立した国、アブハジア共和国の首都として認められています。2011年の国勢調査によると、スフミの人口は62,914人です。

地理と気候

スフミは黒海の東側の湾に位置し、港を有するため、天然の交通の要所としても利用されています。また、鉄道の分岐点としても重要な役割を果たしています。亜熱帯気候に恵まれたこの地域では、温暖な気候と豊な自然に囲まれた生活環境が広がります。旧ソビエト連邦時代には、スフミは人気の保養地として知られ、多くのリゾートホテルが立ち並びました。1840年に設立された植物園はカフカス地域の著名な観光スポットとなっています。また、スフミ・バブシャラ空港があり、この地域へのアクセスが便利です。

歴史的背景

スフミの歴史は古く、旧石器時代の遺跡が発見されています。紀元前6世紀頃、ミレトスから渡ってきたギリシャ人によって、「ディオスクリア」という植民都市が築かれました。以降、ローマ帝国の支配下に置かれ、さらには東ローマ帝国の重要な拠点として発展します。15世紀からはオスマン帝国の影響を受けることになりますが、19世紀にはロシア海軍によって支配されることになり、1864年にはロシアに正式に併合されました。

20世紀に入ると、スフミはロシア革命やアブハジア紛争などに巻き込まれ、特に1989年から1994年にかけての戦争では大きな損害を受けました。市は激しい空爆や砲撃にさらされ、多くの人々が避難を余儀なくされました。しかし、近年では少しずつ復興を遂げつつある状況です。

文化と民族構成

スフミの民族構成は多様性に富んでおり、2011年の調査によると、アブハズ人が67.3%を占め、ロシア人14.8%、アルメニア人9.8%、グルジア人2.8%、ギリシャ人1.0%が居住しています。このような民族の多様性が、スフミの文化的な魅力を一層深めています。

交通

交通インフラも充実しており、アブハジア鉄道のスフミ駅が市の西側に位置しています。これにより、他の地域へのアクセスも便利です。

主な著名人

スフミには著名な出身者が多く、例えばセルゲイ・キリエンコ元ロシア連邦首相や大相撲力士の黒海太、著名な空手家ビターゼ・タリエルがいます。また、ソビエト連邦国家賞を受賞した作家のファジリ・イスカンデル、ファッションデザイナーのデムナ・ヴァザリアなどもスフミ出身です。

姉妹都市

スフミは、ポドリスク（ロシア）やティラスポリ（モルドバ共和国）などの都市と姉妹都市関係を結んでいます。

その魅力と複雑な歴史を持つスフミは、アブハジアの文化や観光名所として、多くの人々の関心を集めています。

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