ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブラン（Sauvignon blanc）は、フランスのボルドー地方を原産とする、緑色の果皮を持つブドウの品種です。名前はフランス語で「野生」を意味する"sauvage"と「白」を意味する"blanc"に由来すると考えられています。古くからフランス南西部に土着しており、サヴァニャンの子孫である可能性が高いとされています。

概要

ソーヴィニヨン・ブランは世界中のワイン産地で栽培されており、その多くは爽やかな辛口白ワインとなります。ソーテルヌやバルザックでは甘口のデザートワインにも使われます。フランスの他、チリ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカのワシントン州やカリフォルニア州で広く栽培されており、カリフォルニアなどの一部のニューワールドではフュメ・ブランと呼ばれることもあります。これは、ロバート・モンダヴィが考案した造語で、プイィ・フュメになぞらえた販売戦略でした。

ソーヴィニヨン・ブランで作られるワインの香りは、栽培される地域の気候によって大きく異なります。冷涼な気候では、強い酸味と草、ピーマン、イラクサのような「青い香り」を持つ傾向があります。パッションフルーツのようなトロピカルフルーツや、エルダーフラワーのようなフローラルな香りが感じられることもあります。温暖な気候ではトロピカルフルーツの香りがより際立ちますが、過熟すると香りが失われる可能性があり、わずかに桃のような樹果やグレープフルーツの香りが残るだけになってしまうこともあります。

ロワール地方やニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを表現する言葉として、"crisp, elegant, and fresh" といった形容詞が使われることがあります。やや冷やしたソーヴィニヨン・ブランには魚料理やチーズ（とりわけシェーブルチーズ）が良く合います。寿司と合うワインのひとつとしても知られています。

リースリングとともに、ソーヴィニヨン・ブランはスクリューキャップのボトルで商業展開された最初のワインです。これは特にニュージーランドの生産者が実施しました。ソーヴィニヨン・ブランのワインは若いうちに飲まれることが多く、熟成しても品質が良くならないものもありますが、なかには熟成によってえんどう豆やアスパラガスを思わせる植物性の香りを持つようになるものもあります。オーク樽で熟成された、ボルドーのペサック・レオニャンやグラーヴ産辛口白ワイン、ボルドーの甘口ワイン、プイィ・フュメやサンセールなどのロワール産ワインは熟成のポテンシャルがあります。

歴史

ソーヴィニヨン・ブランの起源は、フランス西部のロワール川流域およびボルドー地方に遡ることができます。ただし、この地域が真の起源かどうかは明確ではありません。この品種はサヴァニャン種の子孫である可能性が示唆されており、さらにカルメネール種との関係もあると言われています。18世紀には、この品種とカベルネ・フランを掛け合せてカベルネ・ソーヴィニヨンが生み出されました。

ソーヴィニヨン・ブランの苗木がカリフォルニアに初めて持ち込まれたのは1880年代のことです。1968年にロバート・モンダヴィによりフュメ・ブランと名付けられ宣伝されることになりました。ニュージーランドへの伝播は1970年代のことであり、ミュラートゥルガウとの混醸用に試験的に植えられたのが始まりです。

適した気候・地理的条件

ソーヴィニヨン・ブランは芽吹くのは遅いが成熟は早い傾向にあります。そのため、晴天が続く気候においても過剰な高温に晒されなければ良好に栽培が可能です。高温に晒される地域では、ブドウが急速に過熟し香りの弱く酸味の単調なワインになってしまいます。

ソーヴィニヨン・ブランの原産地はボルドーないしはロワール川流域ですが、カリフォルニア・オーストラリア・ニュージーランド・チリ・南アフリカにおいてもさかんに栽培されており、ワインの人気もシャルドネに代わって上昇しています。

生産地域

フランス

フランスでは、ボルドー（アントル・ドゥ・メール、グラーヴ、ペサック・レオニャンなど）やロワール（プイィ・フュメ、サンセール、トゥーレーヌなど）で生産されます。これらの地域の気候ではブドウはゆっくり成熟するため酸と糖分のバランスがとれた状態で成長することができます。フランスでは、ワインづくりにおいて土壌やテロワールの特徴に極めて重大な注意が払われます。

オーストラリア

オーストラリアでは、特にマーガレットリバー地区において、セミヨンとブレンドされることが多いです。

チリ・ブラジル

チリ産のソーヴィニヨン・ブランは、ブレンドを行っていない場合、典型的にはニュージーランド産よりもはっきりと酸味が弱く、むしろフランスに近いスタイルです。

ニュージーランド

1990年代、ニュージーランドの海洋性気候の地域（とりわけ南島）で産出されるソーヴィニヨン・ブランはワイン市場で人気となりました。マールボロ地区では、粘板岩上に砂質の土壌が堆積しており、そのため水はけが良く痩せた土になります。ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの香りと強さはこのようにして生まれるのです。

北米

北米大陸においては、ソーヴィニヨン・ブランの栽培はカリフォルニアで最も成功しています。カリフォルニアで作られるソーヴィニヨン・ブランは、フュメ・ブランの名でも知られます。現在では、マーケティングの観点から、生産者が好きな方の名前を用いることができます。

その他の地域

南アフリカのステレンボッシュやダーバンヴル、イタリアのコリッロ・ゴリツィアーノでは優れたソーヴィニヨン・ブランが作られるようになってきました。

栽培と醸造

ニュージーランドやチリでは、ソーヴィニヨン・ブランを間隔をあけて何度か収穫することがあります。これは、熟度によって特徴が変わってくるため、異なる特徴になったブドウをブレンドするためです。

ソーヴィニヨン・ブランから成るワインは、醸造の仕方にもおおいに影響されます。果汁をどの程度ブドウの果皮に接触させるか、醸造時の温度をどの程度にするかなどが重要な要素となります。

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