タキヒヨー

タキヒヨー株式会社

タキヒヨー株式会社は、愛知県名古屋市西区に本社を構える老舗の繊維専門商社です。その歴史は非常に古く、遡ること1751年（宝暦元年）、初代瀧兵右衛門が現在の愛知県江南市にあたる古知野の地で、絹織物の卸売商「絹屋兵衛門」として産声を上げました。これが現在のタキヒヨーの源流となっています。

創業以来、呉服・絹織物を中心とした商いを発展させ、1864年には後にタキ定名古屋となる「絹屋定助」を分家させるなど、事業を拡大していきます。近代に入り、1912年には「株式会社滝兵商店」として法人組織に改組。その後、商号を「瀧兵株式会社」を経て、1967年に現在の「タキヒヨー株式会社」へと変更しました。戦後の社会や産業構造の変化に対応し、同社は伝統的な呉服業から繊維全般を取り扱う専門商社へと大きく舵を切ります。この事業転換により、テキスタイル（生地・素材）、アパレル（製品）、生活関連商品、そして百貨店事業など、多角的なビジネスを展開する現在の基盤が築かれました。

事業内容と展開

タキヒヨーは、単に繊維製品を卸すだけでなく、時代のニーズに応じた独自のブランドやコンセプトショップの企画・立ち上げにも積極的に取り組んでいます。これにより、消費者への直接的な訴求力を高め、変化の速いファッション・ライフスタイル市場での存在感を強めています。

地域との関わりと貢献

同社は発祥の地である東海地方、特に名古屋地域の商業・小売業の発展に深く関与してきたことでも知られています。例えば、横浜松坂屋の前身である野澤屋呉服店の創業や、現在の大手小売グループであるユニーが複数の企業合併を経て誕生した際には、その設立に出資協力するなど、地域の経済活動において重要な役割を果たしてきました。また、蒲郡市においては、料理旅館「常磐館」や「蒲郡ホテル」（現蒲郡クラシックホテル）の開設、さらには竹島橋や子安弘法大師像の寄付を行うなど、地域社会や観光資源整備への貢献も見られます。

近代以降の主な歩み

タキヒヨーの歩みの中には、困難な時期もありました。かつて名古屋の丸の内地区に建設された旧本社ビルは、当時としては珍しい100メートル級の高層ビルとして注目され、「タキヒヨー丸の内ビル」の名で親しまれましたが、その前後に経営不振に陥ります。この危機を乗り越えるため、旧東海銀行から社長を受け入れ、またビルを旧東京海上火災に売却するなどの構造改革を断行しました。現在は経営再建を果たし、再び創業家出身者が代表の座に復帰するなど、安定した経営基盤を取り戻しています。

近代以降、タキヒヨーは積極的に事業を拡大し、海外へも進出しました。また、米国のアンクライン社やゴルフウェアブランド「zoy」を展開する企業を買収するなどM&Aも実施。ウォルト・ディズニー・ジャパンとのライセンス契約締結や、ダナ・キャラン・ニューヨーク設立への出資など、国内外のブランドとの連携も深めています。近年では、品質管理強化やサステイナブルな取り組み、AIモデル活用など、時代の変化に合わせた新たな挑戦を続けています。

主要な事業拠点は、名古屋の本社の他、東京支店、大阪支店があり、海外にはニューヨーク、ミラノに事務所を置いています。グループ会社としては、ティー・エフ・シー株式会社、ティー・エル・シー株式会社（吸収合併済み）、株式会社タキヒヨー・オペレーション・プラザなどがあります。

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