『
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』、『
宇宙戦艦ヤマトIII』に登場する
デスラー戦闘空母は、
ガミラス帝国総統・
デスラーが『
宇宙戦艦ヤマトII』で
旗艦を失った後、新たに使用した宇宙空母です。
中村光毅氏(準備稿)、
板橋克己氏によってデザインされました。本艦は、それまでの
ガミラス帝国戦闘空母を進化させた艦艇であり、『ヤマトII』に登場した
戦闘空母(バンデベル艦)を改装したという説も存在します。
艦体解説
デスラー戦闘空母は、全長260
メートルと従来の
戦闘空母よりも大型化されています。双胴を思わせる外観が特徴的で、艦の前から中間にかけて
飛行甲板、後方には艦橋構造物や主兵装が配置されています。艦体の大まかな形状は
戦闘空母と似ていますが、艦橋形状やディテールに違いが見られます。特に艦橋上部の構造物は、ドメラーズII世艦と類似したデザインとなっています。
飛行甲板は
戦闘空母と同様に攻撃時に反転し、隠された兵装を露出させます。収納式兵装には、連装砲塔、ミサイル砲塔、無砲身砲塔などが備え付けられています。さらに、艦体側面には大型ミサイル発射口が4門、機雷発射区画が6箇所に設置され、そこから30基の
デスラー機雷を搭載したカプセルを発射します。劇中では描写されていませんが、『新たなる旅立ち』でのセリフから、瞬間物質移送器の装備も確認できます。
主推進機関は艦尾に縦列配置された2基のメインノズルで、従来の
戦闘空母と異なり、下部ノズルは搭載されていません。兵装面では、砲身付き3連装砲塔を3基装備。従来の
戦闘空母と比べて後部の砲塔が1基減少し、舷側の3連装砲塔は別の構造物に変更されています。
デスラー戦闘空母最大の特徴は、
デスラー砲の装備です。艦内に格納され、発射時に甲板に露出する方式を採用。甲板中央部に格納スペースがあり、発射時には砲身が艦内から後部へせり出し、レールに沿って前方へ移動します。
搭載機については、『新たなる旅立ち』での艦内描写からDMB-87型急降下爆撃機の搭載が確認されています。
準備稿との比較
中村光毅氏による準備稿では、決定稿と異なるデザインが採用されていました。全体的な形状は通常の
戦闘空母に似ており、ディテールを追加したような印象です。主な違いとしては、甲板先端や艦橋、艦尾のデザインが
戦闘空母と同一であること、砲身付き3連装砲塔が8基装備されていること、舷側のインテーク状構造物が大きく開口部が丸みを帯びた横長方形であることなどが挙げられます。また、甲板のミサイル砲塔が7連装式であること、
アングルド・デッキがないことも決定稿との相違点です。
劇中での活躍
『
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』では、
デスラー残存艦隊の
旗艦として登場。赤く塗装された艦体は、ガミラス本星に向かう途上で
暗黒星団帝国軍と交戦し、イスカンダル星を追走中にマゼラン方面第一艦隊からの攻撃を受けます。
デスラー機雷で敵艦隊の進撃を遅らせ、イスカンダルへ着水しますが、敵艦隊
旗艦「プレアデス」の攻撃を受け、艦隊は壊滅状態となります。
自動惑星ゴルバに対抗して
デスラー砲を発射するも通用せず、ヤマトに自艦ごと
波動砲でゴルバを撃つよう促しますが、
スターシャの降伏宣言により戦闘は終結。イスカンダルの自爆後、単艦で宇宙の彼方へ去ります。
『
宇宙戦艦ヤマトIII』では、第16話の
デスラーの回想とガルマン・ガミラス本星の軍事パレードに登場。塗装が新型
戦闘空母と同じ濃緑色に変更され、
飛行甲板は灰色、艦橋先端部はオレンジ、艦首部は黒となっています。回想シーンでは、『新たなる旅立ち』後の動向が語られ、新たな残存艦隊を率いて銀河系中央部へ向かう
デスラーは、
ボラー連邦に占領されていたガルマン星を解放しますが、本艦の戦闘シーンは描写されていません。
PS2版『
宇宙戦艦ヤマト イスカンダルへの追憶』では、「改ドメル
戦闘空母級」の「
デスラー・ガミラシア」として登場。
宮武一貴氏によってデザインがアレンジされ、武装やディテールが変更されています。艦橋部分は分離可能で、非常時には脱出手段として利用できます。このゲーム版では艦載機は搭載されていません。
PS版『
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』では、終盤に
デスラー艦の
デスラー砲を仮搭載した緑色の
戦闘空母が登場します。
『
宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』では、「特一等航宙戦闘母艦デウスーラIII世」として登場。オリジナルのシルエットを踏襲しつつ、ディテールアップと武装増加が図られています。艦体色は赤で、
デスラーは「たまには赤も良かろう」と発言しています。
まとめ
デスラー戦闘空母は、
ガミラス帝国総統・
デスラーの象徴として、様々な作品に登場し、そのデザインや武装、活躍はシリーズを通して進化を遂げています。その存在感は、シリーズ全体のストーリーに大きな影響を与え続けています。