トヨタ・センチュリー

センチュリー（CENTURY）

センチュリーは、トヨタ自動車が1967年から製造・販売している、最高級の乗用車であり、いわゆる「ショーファー・ドリブン・カー」として位置づけられています。この車両は主に日本国内の公用車や役員車として利用されており、2023年には新たにSUVタイプが加わりました。

概要

センチュリーの名前は、初代モデルが発表された1967年が明治時代から100周年ということや、トヨタグループ創設者・豊田佐吉の生誕100年に由来しています。センチュリーは、後部座席の広さや乗降のしやすさを重視した設計が特徴で、快適性が重視されており、高い評価を受けています。また、センチュリーは御料車や内閣総理大臣専用車としても使われています。

基本的には日本国内専用の車種ですが、アジアやヨーロッパにも少数が輸出されています。特に香港では、初代特別行政区行政長官の董建華がセンチュリーを公用車として利用していました。また、1998年には右側通行に合わせた左ハンドル仕様が100台作られ、主に日本政府の在外公館への供給向けでした。

特徴と製造

センチュリーの製造には、トヨタ自動車の一般的な生産方式とは異なる、特別な製造体制が設けられています。生産は、以前はトヨタ自動車東日本の東富士工場で行われていましたが、その工場が閉鎖された後は直営の元町工場に移されました。この生産プロセスにおいては、工員が熟練の技術を活かし、ひとつひとつの工程において細心の注意を払いながら、品質を追求しています。

センチュリーの内装には、本木目パネルや本革シートが使用され、職人の手によって仕上げられています。外装の塗装工程も非常に厳格で、何時間もかけて行われるため、トヨタの通常の車両以上の仕上がりを実現しています。また、この車種の内外装にはトヨタのCIマークやロゴが使用されておらず、代わりに「鳳凰」のオーナメントが配置され、センチュリー特有のスタイルを保っています。

コスト面では、センチュリーはかつて1,000万円未満で販売されていましたが、物価の高騰を受けて現在は約1,960万円となっており、その価格でも購入層は法人や高所得者が中心です。販売は高級車を扱う旧トヨタ店を通じて行われ、購入者には一定の条件が求められることがあります。

モデルの変遷

1970年代から1990年代にかけて、初代モデルは様々な改良を経て30年にわたって製造されました。1997年にフルモデルチェンジされ、2代目モデルが登場しました。このモデルも旧型のデザインを踏襲していますが、新しい技術が導入され、より高級感が醸し出されています。2018年には3代目モデルが発表され、さらに進化した車両が提供されています。

2023年の新モデル

2023年9月には、新たにSUVモデルが発表され、センチュリーとしての新しい展開がスタートしました。この新モデルは、プラグインハイブリッド（PHEV）を採用したもので、広い車内空間を持つとされています。

センチュリーはただの高級車ではなく、日本の自動車産業における伝統と技術の結晶であり、これからも多様なニーズに応えて進化し続けるでしょう。

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