トリオンフ

トリオンフ：凱旋の調べと、その余韻

トリオンフ。その名はフランス語で「凱旋」を意味する。この名前に相応しく、競走馬トリオンフは数々のレースで華々しい勝利を収め、日本の競馬史にその名を刻んだ。しかし、その輝かしい経歴の裏側には、幾多の困難と努力の物語が隠されている。

2014年、北海道洞爺湖町の牧場で誕生したトリオンフは、2016年、栗東・須貝尚介厩舎に入厩。デビュー戦となる新馬戦（函館[[競馬場]]）を制し、華々しいスタートを切った。しかし、3歳時のこぶし賞で7着と敗れたことをきっかけに、陣営は去勢手術を決断。この決断が、トリオンフの運命を大きく変えることとなる。

去勢手術後のトリオンフは、気性が穏やかになり、それまで秘められていた能力を余すことなく発揮し始めた。4歳時には、条件戦を連勝した後、小倉大賞典（GIII）で見事重賞初制覇。川田将雅騎手を背に、早々と先頭に立ち、後続を突き放す圧勝劇を演じた。この勝利は、前年に急死した父タートルボウルにとっても、産駒初のJRA重賞制覇という大きな意味を持つものとなった。

続く大阪杯（GI）では惜しくも8着に終わったものの、その後も小倉記念（GIII）でコースレコードを樹立する圧勝劇を見せ、重賞2勝目を飾った。武豊騎手との初コンビで、2番手追走から最後の直線で力強く抜け出し、3馬身差をつけての勝利は、多くの競馬ファンを魅了した。

しかし、栄光の舞台の裏では、試練が待ち受けていた。秋には天皇賞（秋）を目指して調整されていたが、屈腱炎を発症。1年4ヶ月もの長期休養を余儀なくされることとなった。

奇跡の復活を遂げたのは6歳時。中山金杯（GIII）で、ミルコ・デムーロ騎手を鞍上に、見事重賞3勝目を挙げた。単勝オッズ4.3倍の2番人気に支持され、逃げ馬をぴったりとマーク。最後の直線で抜け出し、外から迫るウインイクシードとの激しい競り合いを制し、アタマ差で勝利をもぎ取った。この勝利は、多くのファンに感動と希望を与えた。

しかし、再び屈腱炎を再発。惜しまれながらも現役を引退し、北海道レイクヴィラファームで乗馬として第二の人生を歩み始めた。引退後も、牧場では若駒たちのリーダーとして、穏やかな日々を送っている。その後、札幌市の乗馬クラブへ移籍し、人々を乗せて新たな役割を担っている。

トリオンフの競走生活は、まさに凱旋劇と試練の物語だったと言えるだろう。その輝かしい勝利の数々、そして苦難を乗り越えようとしたその強さは、多くの競馬ファンに深い感動を与え続けるだろう。その名は、これからも日本の競馬史に語り継がれていくことだろう。

もう一度検索