ドリンクバー

ドリンクバー：日本の外食文化を彩る定番サービス

ドリンクバーは、セルフサービス形式で飲み物が自由に楽しめるサービスです。多くの飲食店で導入されており、特にファミリーレストランでは定番となっています。若者からは「ドリバ」と略されることも。本稿では、ドリンクバーの歴史、種類、導入状況、そして将来性について解説します。

ドリンクバーの利用方法

ドリンクバーの利用は簡単です。注文後にコーナーへ行き、好きな飲み物をカップに注ぎ、必要に応じて砂糖や氷などを加えて席に戻ります。原則として、1人1カップの使用が基本で、回し飲みは禁止です。料金を支払えば、何回でも自由に利用できる、一種のサブスクリプションサービスと言えるでしょう。ホットドリンクとコールドドリンクの両方が用意されている場合、途中でカップを交換することで、より美味しく楽しめるでしょう。ただし、カップの交換は店舗によって対応が異なる場合があります。また、複数の飲み物を混ぜてオリジナルドリンクを作る人もいます。

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、多くの店舗でカップの交換を推奨する動きが見られました。

朝食やランチメニュー、デザートセットなどにドリンクバーが含まれていることも多く、漫画喫茶などでも、室料にドリンクバー料金が含まれるケースが一般的です。

ドリンクバーの歴史

ドリンクバーの起源は1987年、ニチイのテナントであるハニーという店舗に遡ります。責任者である西田英隆氏がコカ・コーラ社との協業により導入したことが始まりとされています。1992年には、すかいらーくグループのガストがドリンクバーを導入、低価格路線と組み合わせた戦略は大成功を収め、バブル崩壊後の不況の中で苦戦していたすかいらーくの業績回復に大きく貢献しました。当初は「ホットドリンクバー」として温かい飲み物のみを提供し、カップは1つのみの提供だったため、様々な飲み物を1つのカップで楽しむ必要がありました。現在のガストでは、「プレミアムカフェ」という名称に変更されています。

ドリンクバーの導入は、マスメディアでも大きく取り上げられ、瞬く間に多くの飲食店へと広がっていきました。中には、アルバイトスタッフがコーヒーを客席に置いて自由に飲ませたことがきっかけという説も存在します。居酒屋やカラオケボックスで使われるピッチャーも、ドリンクバーのヒントになったと考えられています。

ドリンクバーの進化

低価格路線で人気を博したドリンクバーは、現在も進化を続けています。飲み物の種類が増えるだけでなく、エスプレッソマシンや、果汁100％ジュースの導入など、品質向上にも力を入れています。

ドリンクバーの種類

ドリンクバーで提供される飲み物は、店舗規模、スペース、契約メーカーによって異なりますが、以下の種類が主流です。

コーヒー

・ブレンドコーヒー
・アメリカンコーヒー
・エスプレッソ
・カフェラテ
・カプチーノ

アイスコーヒーは、あらかじめ抽出した原液を使用するものと、ホットコーヒーを氷で冷やすものの2種類があります。

茶類

ティーバッグを使った紅茶や日本茶（煎茶、ほうじ茶など）、烏龍茶、ジャスミン茶などが提供されます。清涼飲料水のサーバーで提供される冷茶もあります。各チェーン店では、オリジナルのブレンドティーなども提供されています。

清涼飲料水

契約メーカーによってラインアップは異なりますが、コーラ、炭酸飲料、オレンジ[[ジュース]]、カルピスなどが一般的です。健康志向の高まりを受け、野菜ジュースや青汁を取り扱う店舗も増えています。

その他

ココア、ミルクティーなどが提供される他、スープバーと併設されている場合もあります。フローズンドリンクやソフトクリームなどのデザートを提供する店舗もあります。一部の焼肉店では、ビールや日本酒などのアルコール類も提供しているケースがあります。

ドリンクバー以外のサービス

ドリンクバーに先駆けて、スープバーも普及していました。ステーキレストランなどで提供され、ファミリーレストランでもランチタイムなどに提供されることがあります。ポタージュ、ミネストローネ、クラムチャウダーなどが一般的です。

ドリンクバーを導入しないレストラン

多くのレストランチェーンではドリンクバーが導入されていますが、フルサービスレストランとして差別化を図るため、導入していないチェーン店もあります。また、客の滞在時間が長くなり、客席回転率の悪化につながることを懸念し、時間制限を設けたり、特定の店舗でのみ導入しているケースも見られます。

ドリンクバー導入例と非導入例

導入例：ガスト、ロイヤルホスト、サイゼリヤなど

非導入例：レッドロブスター、和食さと（一部店舗を除く）、びっくりドンキーなど

レストラン以外のドリンクバー

複合カフェ、漫画喫茶、インターネットカフェ、一部のファーストフード店、回転寿司店、映画館、カラオケボックスなどでも、ドリンクバーを提供する店舗があります。

ドリンクバーの将来性

ドリンクバーは、外食産業において重要な役割を果たしています。今後も、飲み物の種類や品質の向上、新たなサービスとの連携など、さらなる進化が期待されます。しかし、時間制限や価格の見直しなど、課題も多く残されています。

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