ニザーム

ニザーム王国の歴史

ニザーム（Nizam）という称号は、インドのデカン地方に位置するかつてのニザーム王国、通称ハイダラーバード王国の支配者を指します。元々はアラビア語から派生した言葉ですが、16世紀以降はウルドゥー語にも広がりました。

ムガル帝国からの独立

この王国の起源は、1713年1月12日に遡ります。この日、ムガル帝国の武将カマルッディーン・ハーンが皇帝ファッルフシヤルから「ニザームル・ムルク」という称号を与えられました。この称号は、王国を統治する者や皇帝の代理人を意味します。

1724年、カマルッディーン・ハーンはハイダラーバードを拠点に独立を宣言し、ニザーム王国を成立させました。それ以降、彼とその子孫は「ニザーム」を名乗り続けました。

ニザーム家の繁栄と伝説

ニザーム家は、豊かな一族として知られており、その財力は驚くべきものでした。特に第9代のニザーム、マフブーブ・アリー・ハーン（アーサフ・ジャー6世）は有名です。彼は同じ衣装を二度と着ることがなく、彼の宮殿には、洋服箪笥が2階にまで達するほどの量の衣類があったと伝えられています。

ニザームの妃たちは、その装飾においても豪華さが際立っていました。彼女たちは宝石の飾りや金の装飾品、華やかなドレスで美しく着飾り、首には宝石や真珠のネックレス、豪華な靴に銀の足飾りをつけていました。特に彼女たちの装いはまさに贅沢そのものでした。

伝説によると、ニザーム王国には膨大な量のダイヤモンドやサファイア、エメラルド、ルビーが宮殿の地下倉庫に保管されていたとされます。また、280カラットのジャコブダイヤモンドが文鎮に使われていたり、12台のトラックが金塊の重さにより庭園の泥沼に立ち往生したという話も残っています。

歴代のニザーム

ニザーム王国には数代にわたって支配者が存在しました。以下にその概要を示します。

• - カマルッディーン・ハーン（1724年 - 1748年）: ニザーム王国の創始者として知られる。
• - ナーシル・ジャング（1748年 - 1750年）: 初代ニザームの息子。
• - ムザッファル・ジャング（1750年 - 1751年）: その後継者。
• - サラーバト・ジャング（1751年 - 1762年）: ニザーム家の続く指導者。
• - ニザーム・アリー・ハーン（1762年 - 1803年）: 王国の繁栄を遂げた。
• - シカンダル・ジャー（1803年 - 1829年）: 政治的な困難に直面した時代を生き抜く。
• - ナーシル・ウッダウラ（1829年 - 1857年）: 王国の終焉に向かい、重要な時期を過ごす。
• - アフザル・ウッダウラ（1857年 - 1869年）: この時期、王国に多くの変化が訪れる。
• - マフブーブ・アリー・ハーン（1869年 - 1911年）: 最も贅沢な生活を送ったニザーム。
• - ウスマーン・アリー・ハーン（1911年 - 1948年）: インド独立運動の時期を経て、王国は消滅を迎える。

結論

ニザーム王国は、インドの歴史の中でも特異な存在であり、その財力や文化的影響は今なお忘れ去られることはありません。彼らの豪華なライフスタイルや多くの伝説は、インドの歴史の中で語り継がれる重要な部分を成しています。

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