カマルッディーン・ハーン

カマルッディーン・ハーン: ニザーム王国の創始者

カマルッディーン・ハーン（Qamar-ud-din Khan）は、1671年8月11日に生まれ、1748年6月1日に亡くなった、ニザーム王国（ハイダラーバード王国）の初代君主である。彼は、衰退しつつあるムガル帝国の中で、その権力を背景に新たな国家を樹立した。

早期の生涯と帝国への忠誠

ハーンはムガル帝国の中央アジア・トルコ系貴族であるガーズィー・ウッディーンの子として生まれた。彼の人生は、アウラングゼーブ帝が没した1708年から始まる帝位継承争いの中での彼の武将としての活動に象徴されている。特にファッルフシヤル帝の即位を支えたことが、彼の地位を高めるきっかけとなる。1713年、彼は「ニザームル・ムルク」という称号を得、デカン地方の支配を任されるようになる。

帝国からの独立とニザーム王国の誕生

しかし、ムハンマド・シャー帝の登場以降、カマルッディーン・ハーンは次第にその政権に失望し、1723年には宰相の職を辞した。彼はデリーを離れ、デカンに新たな国家を樹立しようと決意する。1724年、シャカル・ケーダーの戦いでムガル帝国軍を破り、彼は独立を果たした。ハイダラーバードを首都とするニザーム王国の創始を宣言し、カマルッディーン・ハーンはアーサフ・ジャーと名乗ることで、彼の血統が始まる。

マラーターとの戦争

新国家樹立後、ハーンはマラーター王国との戦争に直面する。デカン地方における権利を巡る争いで、ハーンは一度は勝利を収めるものの、バージー・ラーオによる侵攻が続き、最終的にはニザーム王国はマラーター同盟にマールワーを割譲せざるを得なくなった。ここでの敗北は王国にとって大きな痛手となったが、カマルッディーンはその後も王国の体制を堅固に保つため、さまざまな内政改革を進めた。

内政と改革

カマルッディーン・ハーンは、征服した地域に安定した統治を確立し、徴税制度を整備した。また、ジャーギール制度を取り入れることで、地元の有力者に権威を与え、秩序を保とうとした。彼はまた、ヒンドゥー教徒にも寛容に接し、特に宰相としてヒンドゥー教徒のプーラン・チャンドを任命したことは、彼の政策の柔軟さを示している。

繁栄と死

1748年、彼はブルハーンプルで死去し、アウランガーバード近郊に埋葬された。彼の死後、その息子ナーシル・ジャングが後を継いだが、内乱が続き、インドの歴史における動乱の時代へと突入することになる。カマルッディーン・ハーンの人生は、ムガル帝国の瓦解期において、ニザーム王国の基礎を築いたことから、インドの歴史において重要な位置を占め続けている。彼の統治の成果は、1948年にインドに併合されるまで続いたニザーム王国の繁栄へと繋がった。

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