ニューロダン

ニューロダン（NewRodin）は、日本の主要なフォントメーカーであるフォントワークス株式会社が、2000年に開発しリリースしたデジタルフォント製品で、ゴシック体に分類される書体です。長年にわたりグラフィックデザインの世界で広く用いられ、高い評価を得ていた同社の代表的な書体である「ロダン」をベースとし、より現代的なデザイン要素を取り入れて洗練させることを目指して開発されました。

本フォントは、主にグラフィックデザインや出版分野での利用を想定して市場に投入されました。デジタルフォントとしての技術的な形式は、互換性の高いOpenTypeフォーマットおよび、より高度な機能を備えたCIDフォーマットが主として採用されています。加えて、放送業務など特定の専門的な用途向けには、TrueType形式での提供も行われています。利用形態としては、同社が提供する年間定額制フォントサービスであるLETSや、特定のニーズに合わせたフォントを提供するセレクトフォントサービス「mojimo」といったサブスクリプション契約を通じてのみ入手可能であり、従来のソフトウェアパッケージのような買い切り方式での販売は行われていません。

デザイン上の大きな特徴は、改良の結果として生まれた字面の大きさです。文字の占める面積が広く設計されているため、視覚的な存在感があり、特に短時間での情報伝達や遠距離からの視認性が求められる環境での可読性向上に寄与します。この字面の大きさや、飾り気がなく直線的な骨格を持つモダンサンセリフとしての特性は、モリサワ社の新ゴやゴナといった、他の著名なモダンゴシック体とも共通する雰囲気を持ち合わせています。

和文部分と調和させるため、付属する欧文（アルファベットや数字）のタイプフェイスも、和文のデザインに合わせた角張ったスタイルが採用されています。この欧文のデザインは、Eurostileのような機械的で構築的な雰囲気を持ち、日本語と英語が混在するようなテキストでもデザインの統一感を保つことができます。

ニューロダンの活用事例は多岐にわたります。広告媒体、雑誌、書籍などの印刷物においても見られますが、DTP黎明期から広く普及している新ゴがこの分野で大きなシェアを占めているため、印刷媒体では比較的新しい書体であるニューロダンを目にする機会は限られているかもしれません。しかし、テレビ番組のテロップとしては非常に多く利用されており、特に従来のゴナからニューロダンへの切り替えが進んでいる放送局が多く存在します。具体的には、NHK、TBSテレビ、テレビ朝日などが使用していることが知られています。さらに、商品パッケージのデザインや、美術館、駅などの公共施設における案内表示、サインシステムといった場面でも、その視認性の高さと現代的なデザインが評価され、採用されています。

ニューロダンファミリーは、デザイン表現の幅を広げるために、複数の太さ（ウェイト）で提供されています。主なウェイト構成は、「ニューロダン-L」（Light）、「ニューロダン-M」（Medium）、「ニューロダン-DB」（Demibold）、「ニューロダン-B」（Bold）、「ニューロダン-EB」（Extrabold）、「ニューロダン-UB」（Ultrabold）の6種類です。これらの豊富なウェイトを使い分けることで、見出し、本文、キャプションなど、様々な用途に応じた最適な表現が可能となります。

ニューロダンは、モダンなデザインと高い視認性を兼ね備え、グラフィックデザインから公共空間の情報伝達に至るまで、多様なメディアで利用されている現代の代表的なデジタルフォントの一つと言えるでしょう。

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