バナー

バナー広告とは

バナー広告は、ウェブページ上で他のウェブサイトを紹介する役割を持つ画像（アイコンの一種）のことです。本来は旗印を意味する言葉で、ウェブページ上で広告が目立つように使われたことから、この名前で呼ばれるようになりました。

主に広告・宣伝用に作成され、ウェブサイトへのハイパーリンクとしても利用されます。画像にはリンクが設定されており、クリックすると、そのバナーが紹介するウェブサイトが表示される仕組みになっています。

横長の帯状のものが一般的ですが、近年では縦長のものや正方形に近いものも多く見られます。

英語の「banner」は、本来は正方形の紋章旗を指しますが、横断幕や幟（のぼり）などの意味にも広がっています。帯状の広告画像が宣伝用の垂れ幕を連想させることからこの名がついたとされ、英語では本来のバナーと区別するために「ウェブバナー」と呼ばれることもあります。

日本では、「軍旗」「幟」「横断幕」をバナーとは呼ばないため、単に「バナー」と呼ぶことが多く、「ウェブバナー」とわざわざ区別することは比較的少ないです。また、日本では「バーナー」と誤記されることもあります。

広告としてのバナー

広告として利用される場合、バナー画像には広告主のウェブサイトへのリンクが設定されており、ユーザーがクリックすると、そのウェブサイトに移動する仕組みになっています。

バナー広告の仕組み

バナー広告が表示されるウェブページを閲覧者が開くと、ページ内にバナー画像が表示されます。これを「インプレッション (impression)」と呼びます。

閲覧者が広告内容に興味を持ち、バナーをクリックすると、広告主のウェブサイトへ移動します。これを「クリックスルー (click-through)」と呼びます。

さらに、閲覧者が広告主のウェブサイトで取り扱われている商品に興味を持ち、購入した場合、広告主にとっての利益となります。

バナー広告の種類

広告掲載者が広告収入を得るタイミングによって、バナー広告は大きく分けて3つのタイプに分類できます。

1. 表示報酬型（インプレッション型報酬）
- インプレッションが発生した回数、つまり広告掲載者のページが開かれた回数に応じて報酬が支払われる方式です。
- 1000インプレッション単位で計算されることも多いです。
- 掲載者にとっては、多数の人が何度も訪れるようなコンテンツを作成することで報酬を増やせるというメリットがあります。
- 一方、広告主にとっては、自社のウェブサイトを見る閲覧者が少なくても報酬を支払わなければならないというデメリットがあります。

2. クリック報酬型（クリックスルー型報酬）
- クリックスルーの回数に応じて報酬が支払われる方式です。
- 「クリック保証型」と呼ばれることもありますが、これは本来、広告が一定のクリック数を消費するまで配信される広告の契約方法を指します。
- 広告主は、報酬を支払うことで、確実に自社のウェブサイトを見てもらえるという安心感を得られます。

3. 成果報酬型（売上型成功報酬）
- バナー広告を経由して、閲覧者が商品やサービスの購入を行った回数や売上に応じて報酬が支払われる方式です。
- 広告主にとっては、利益が得られたときのみ報酬を支払えば良いというメリットがありますが、掲載側に報酬が入る確率は低く、掲載してもらいにくいというデメリットがあります。

バナー広告の歴史

最初のクリック可能なウェブ広告（後に「バナー広告」という用語で知られるようになった）は、1993年に最初の有償ウェブサイトのひとつだったGlobal Network Navigator（GNN）が、シリコンバレーの法律事務所に販売されたとされています。

長年に渡り世界初のウェブバナー広告とされていたのは、1994年 10月27日にウェブ雑誌HotWired上に掲載された、電話会社AT&Tのものでした。

しかし、別の情報源では、1994年 10月にHotWiredがクアーズのジーマキャンペーンで最初のウェブバナー広告を使ったともされています。

さらに、1994年 10月24日に開始されたタイム・ワーナーのウェブサイト「Pathfinder」では、HotWiredと同じ週の3日前にバナー広告が掲載されていたことが判明しました。バナー広告のコンセプトは、タイム・ワーナーとHotWiredで別々に開発されたと考えられています。

したがって、バナー広告を表示した最初のウェブサイトは、HotWiredよりも数日早く立ち上げられたタイム・ワーナーのウェブサイトということになります。

その後、IBM、スプリント、MCI、ボルボなどの各社が次々とHotWiredと広告契約を結び、バナー広告は急速に普及しました。アニメーションGIFなど、多少動きのある広告も登場しました。

1995年7月には、Focalink Communicationsが最初の中央管理による広告サーバーをリリースし、オンライン広告の管理、ターゲティング、追跡が可能になりました。1996年1月には、NetGravityからローカル管理の広告サーバーがリリースされました。これらの技術革新により、インプレッションベースのオンライン広告販売が促進され、1994年から2000年までのウェブ業界におけるウェブ広告の急増を支えました。

21世紀初頭には、GoTo.com（後のオーバーチュア、そしてYahoo!、そしてGoogle AdWordsプログラムのマスマーケティングで広げられた）によって導入された新しいオンライン広告モデルが、インプレッションではなく広告へのレスポンスの追跡に重点を置くようになりました。

バナー広告の積極的な利用により利益を上げ、インターネットブームの到来に貢献したのがYahoo!やネットスケープコミュニケーションズです。Yahoo!は、ウェブディレクトリや検索エンジンなどのサービスを無料で提供する一方で、バナー広告を掲載し、バナーを中核に据えたビジネスモデルを構築しました。その後、Yahoo!の成功を模倣してさまざまなサービスが立ち上げられ、インターネットの可能性は大きく広がりました。

しかし、ユーザーがバナー広告に対する「耐性」をつけたことや、インプレッション回数に対して0.05%程度という低いクリックスルー率から、ウェブでの新しい広告形態を模索する動きもあります。注目度を高めるために、従来の広告よりもサイズを大きくしたり、Adobe Flashや動画などを用いた表現を取り入れた広告も増えています。

バナー画像の大きさ

バナー画像の大きさは自由に設定できますが、オンライン広告の業界団体であるIAB (Interactive Advertising Bureau) が定めるガイドライン「Interactive Marketing Units」に従うことが一般的です。2012年時点で、販売されるバナー広告の80%以上がこのガイドラインに従っていました。

IABが標準化する前は、バナー広告には250を超えるさまざまなサイズが使われていました。

日本では、IAB規格が制定される前に普及した、幅400 x 高さ40ピクセル、幅200 x 高さ40ピクセルのものが広く用いられています。

2007年のIABガイドラインでは、以下のサイズが推奨されています（太字はユニバーサル・アド・パッケージ（UAP）のサイズ）。

728 x 90（リーダーボード）
300 x 250（ミディアムレクタングル）
160 x 600（ワイドスカイスクレイパー）
120 x 600
120 x 240
125 x 125（スクエアボタン）
234 x 60
468 x 60（フルバナー）

これらのガイドラインは、広告パフォーマンステストの結果得られる消費者の反応の変化、よく使われるデバイスやメディアタイプの変化などを考慮して、2年ごとに見直されるため、常に最新の情報を参照する必要があります。

2015年、IABはHTML5を考慮したディスプレイ広告とモバイル広告のガイドラインを発表しました。

2017年、IABはサイズ調整可能な広告（レスポンシブ広告）フォーマットを取り上げた新しいガイドラインと、拡張現実（AR）、仮想現実（VR）、ソーシャルメディア、モバイルビデオ、絵文字広告メッセージング、360度動画広告などの新しいデジタルコンテンツエクスペリエンスのガイドラインも発表しました。

リンク用看板としてのバナー

日本では、ウェブサイト間でリンクを張る際に、リンク先のウェブサイトの看板として使われる画像のことを「バナー」と呼ぶこともあります。

欧米では、この用途で使われる画像は「ボタン (button)」と呼ばれることが多いです。バナーとボタンの境界は曖昧ですが、広告に使われる比較的大きく細長いものを「バナー」、小さめのものを「ボタン」と区別するのが一般的です。

「ボタン」という名称は、Netscape Navigatorのバナーがエンボスで浮き出たようなデザインになっていたことに由来するという説や、クリックすると他のページへ飛ぶという動作から連想されたという説などがあります。

リンク用バナーの大きさ

看板という性質上、大きさは自由に設定できます。しかし、リンク集などで並べて使われることが多いため、一般的なサイズのものを準備しておくと良いでしょう。

世界的に最も一般的なのは、88 x 31ピクセルのMicro Bar型です。これに加え、日本では200 x 40ピクセル、100 x 60ピクセルのものが普及しています。200 x 40ピクセルのサイズは、Woody-Rinnによって考案されました。80 x 15ピクセルのものもあります。

リンク用バナーの使い方

リンク集でウェブサイトの紹介の横に掲載したり、ウェブサイトのトップページなどに掲載してリンク先のウェブサイトへの応援を表明したりといった使い方が一般的です。

各ウェブサイトのバナーは、そのウェブサイトのアバウトページやリンク集のページなどで配布されていることが多いです。

リンク集のデザインは各ウェブサイトによって異なります。幅広いケースに対応できるように、バナー作成者はサイズの異なるバナーを複数準備しておくと良いでしょう。その際、Micro Barなどの広く普及しているサイズを含めておくのが望ましいです。

他サイトのバナーを自分のウェブサイトで使う場合には、画像データをどこに置くのかという問題があります。相手のサーバーにあるデータを直接参照するのか（いわゆる直リンク）、自分のサーバーにデータを移すのかのどちらかになります。

自分のサーバーに置いた場合、相手のサーバーに負担をかけないという利点があります。また、自分のサーバー上のバナーを指定したHTMLソースを用意しておくと、リンクを張りたい人がそのソースをコピー＆ペーストするだけでバナーを設置できるという利点があります。

バナーにおける問題点

ユーザービリティ・アクセシビリティ

バナーはその多くが画像内で情報を提供するため、スクリーンリーダーやテキストブラウザを利用する場合に情報が伝わりきらないというアクセシビリティの問題があります。また、視力の悪いユーザーが画像拡大ができないウェブブラウザを利用している場合にも同様の問題が発生します。

ブロードバンド向けのバナーやバナー数が多いウェブページは、ダイヤルアップ接続などのナローバンド環境では画像の読み込み時間が長くなり、ユーザビリティを低下させるという問題もあります。

これらの問題を解決するには、バナー画像のデータ容量を小さくする、バナー数を減らす、ALT属性で情報を付与する、テキストバナーに代替するなどの方法があります。

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