スクリーンリーダー

スクリーンリーダーとは、コンピュータの画面情報を音声で読み上げるソフトウェアのことです。主に視覚障害を持つ方が、パソコンやスマートフォンなどの電子機器を操作する際に利用します。視覚的な情報に頼らず、音声を通じて情報を把握し、操作を可能にするアクセシビリティ技術です。

スクリーンリーダーの役割

視覚障害のある方が、健常者と同じようにコンピュータを操作することは、画面を見ながらマウスを操作する必要があるため困難です。特に全盲の方は、支援技術なしにGUIベースのOSを操作することはほぼ不可能です。スクリーンリーダーは、このような状況を解決するために開発されました。画面に表示されたテキスト、ボタン、メニューなどの情報を音声で読み上げることで、視覚障害者が情報を取得し、コンピュータを操作できるようにします。

近年では、単に画面上の情報を読み上げるだけでなく、操作内容やコンテキストを理解し、より高度な情報を提供できるようになってきています。このため、「画面読み上げ」だけでなく、「操作読み上げ」の性能も重視されるようになっています。スクリーンリーダーは、Microsoft Word、Excel、インターネットブラウザなどの様々なアプリケーションで使用でき、視覚障害者の就労支援においても重要な役割を果たしています。

行政機関や図書館、ポータルサイトなどでは、テキスト情報に音声合成を施し、インターネット経由で電子端末で再生できる環境も整備されています。

OSごとの状況

Windows

Windows 8以降では、「ナレーター」というスクリーンリーダーが標準搭載されており、日本語音声合成エンジン「Microsoft Haruka Desktop」が読み上げを行います。Windows 7やVistaでも日本語音声合成エンジンが提供されています。

市販されているスクリーンリーダーの多くは、Windowsに対応しており、「JAWS for Windows」や「NVDA」などが有名です。日本語環境では、「PC-Talker」も広く使われています。

macOS

macOSには、「VoiceOver」というスクリーンリーダーが標準搭載されています。macOS X v10.4以降に対応しています。

Linux

Linuxでは、「BRLTTY」というスクリーンリーダーがあり、日本語対応版である「BRLTTY Plus」が開発されています。さらに、「GR for UNIX」へと展開が進められています。「Emacspeak」は、Emacsと連携する日英2か国語対応の読み上げソフト（日本語対応版）があります。

スマートフォン

AppleのiPhoneやiPadでは、「VoiceOver」が標準搭載されています。iOS 4からタッチパネルに対応し、日本語のフリック入力も可能です。Androidでは、「Talkback」や「Shine Plus」などのスクリーンリーダーが利用できます。

日本の携帯電話

NTTドコモの「らくらくホン」には、スクリーンリーダーが組み込まれており、視覚障害者への普及率が高いです。auの「簡単ケータイ」にもスクリーンリーダーが搭載されています。

ChromeOS

ChromeOSには、「ChromeVox」というスクリーンリーダーが搭載されています。

その他の関連情報

スクリーンリーダーは、アクセシビリティ技術の一つであり、音声合成技術と密接な関係があります。また、点字ディスプレイと連携して使用されることもあります。ウェブサイトのアクセシビリティ向上には、「ホームページリーダー」のような音声ブラウザや、画像の代替テキストを記述するための「alt属性」などが重要な役割を果たします。

近年では、「ReadSpeaker」などのウェブサイト読み上げ機能も普及しています。さらに、「aiBrowser」のような、スクリーンリーダーと連携して動作する音声ブラウザも登場しており、視覚障害者の情報アクセス環境はますます進化しています。

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