パルス

パルス信号：その種類と応用

パルスとは、非常に短い時間に急激な変化を示す信号の総称です。脈打つような変化を表現する言葉としても用いられます。本稿では、主に電気信号におけるパルスについて解説します。

矩形波

矩形波は、急峻な立ち上がりと立ち下がりを持つ波形です。特に、立ち上がりの時間が短い矩形波は、電子回路の分野ではパルスと呼ばれます。デジタル回路におけるクロック信号や同期信号など、多くの場面で使用されています。

身近な例としては、かつて一般的に使用されていた回転ダイヤル式の電話機があります。この電話機では、ダイヤルを回すことで発生するパルス信号（ダイヤルパルス）が電話交換機に送られ、接続先の番号を指定していました。

パルス信号の特性を利用して、他の信号を変調する技術をパルス変調と言います。パルス幅変調（PWM）、パルス振幅変調（PAM）、パルス符号変調（PCM）など、様々な種類のパルス変調技術が存在し、通信や信号処理の分野で広く活用されています。また、シンセサイザーの音色生成においても、矩形波以外にも三角波やのこぎり波などを含めて総称的にパルス波と呼ぶ場合があります。

インパルス

インパルス（δ関数とも呼ばれる）は、幅が無限小で高さが1の理想的なパルス信号です。数学的には、時間領域では無限小の幅を持ちますが、周波数領域では全ての周波数成分を含みます。この特性から、システムの特性を調べるための重要なツールとして用いられます。

システムにインパルスを入力した際の出力はインパルス応答と呼ばれ、システムの周波数特性や時間特性を評価する上で非常に重要な情報となります。インパルス応答を解析することで、システムの安定性や性能を評価することができます。

パルス状信号

信号が脈打つように変化することをパルス状といいます。この表現は、単なる矩形波だけでなく、様々な波形に対して用いられます。例えば、雷の放電によって発生する電磁パルスや、地震のような振幅の急激な変化もパルス状と表現されます。

関連用語

波動: パルス信号は波動の一種であり、様々な物理現象において見られます。
パルス波: 広義には、パルス状の波形を指します。
電磁パルス: 電磁波のパルス状の現象。
超短パルス: 極めて短い時間幅を持つパルス信号。レーザー技術などで使用されます。
パルス変調: パルス信号を用いて他の信号を変調する技術。
車速信号: 車両の速度をパルス信号で表したもの。
ダイヤルパルス: 回転ダイヤル式電話機から送られるパルス信号。
パルサー: パルス状の電磁波を周期的に放出する天体。中性子星の一種。
* パルス圧縮: パルス信号の帯域幅を広げることで、時間分解能を高める技術。レーダー技術などで用いられます。

まとめ

パルス信号は、電子工学、通信工学、物理学など様々な分野で重要な役割を果たしています。その種類や特性を理解することは、これらの分野を学ぶ上で不可欠です。本稿で説明した内容が、パルス信号の理解の一助となれば幸いです。

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