フレキシブルコンテナバッグ

フレキシブルコンテナバッグ（フレコンバッグ）とは

フレキシブルコンテナバッグ（Flexible Intermediate Bulk Container, FIBC）は、粉末や粒状の貨物を効率的に保管・輸送するための袋状の包装材です。フレコンバッグ、フレコン、コンテナバッグなどとも呼ばれます。特に1トン程度の重量物を収容できるものが主流で、「トン袋」「トンバッグ」「トンパック」という名称でも広く知られています。

英語ではFIBCが正式名称ですが、ジャンボバッグ、バルクバッグ、スーパーサック、ビッグバッグなど、多様な呼び名が存在します。

概要

フレコンバッグは、ポリエチレン（PE）やポリプロピレン（PP）といった丈夫な化学繊維で作られており、穀物、飼料、土砂などの粉状物質の梱包・輸送に最適です。上部には、フォークリフトやクレーンで吊り上げるための丈夫な吊りベルトが取り付けられています。

軽量で、使用後はコンパクトに折り畳めるため、保管スペースを取りません。耐荷重は1トン程度で、価格も安いため、幅広い分野で活用されています。

また、原料の輸送だけでなく、災害時の土嚢としても使われるほか、日本では福島第一原子力発電所事故後の除染作業でも大量に利用され、仮置き場に山積みされたことが知られています。

歴史

フレコンバッグの正確な使用開始時期は不明ですが、少なくとも1940年代には登場していたと考えられています。初期にはポリ塩化ビニル（PVC）とゴムで作られ、カーボンブラックの輸送に使われていましたが、重量とコストがかさむため、1960年代から1970年代にかけてPP製のものが主流になりました。これが現代のフレコンバッグの原型です。

1970年代半ばの石油危機に伴う中東での大規模建設ブームでは、セメントの需要が急増し、ヨーロッパから大量のセメントを輸送する際にフレコンバッグが活用され、流通が確立しました。現在では、さまざまな産業で年間40億トン以上の製品輸送に使われています。

構造と特徴

フレコンバッグは、製品や用途によって構造が異なりますが、一般的には本体、投入口、排出口、吊り部で構成されます。

本体

PEやPPなどの化学繊維で織られており、継ぎ目のないものや、複数の素材を組み合わせたものがあります。内袋としてポリエチレンフィルムやアルミフィルムを使用することもあります。

投入口

上部の開口部で、スリット状または筒状です。ここに内容物を充填し、マチ部分で口を閉じます。

排出口

底面に設けられた開閉可能な開口部で、内容物を排出する際に使用します。

吊り部

ロープやベルトが取り付けられており、フォークリフトやクレーンでバッグを吊り上げるための支点となります。本体側面や底面に取り付けられます。

規格

フレコンバッグの規格は、日本産業規格（JIS）Z1651:2017によって定められています。

コンテナの形状は円筒形または方形
寸法は当事者間の協定による（一般的な容量は1立方メートル）
容積は3,000リットル以下、最大充填質量は3,000キログラム以下

国際規格としては、「ISO 21898:2004, Packaging−Flexible intermediate bulk containers (FIBCs) for non-dangerous goods」があります。日本のJIS規格「JIS Z 1651:2008」は、この国際規格を基に制定されています。

コンテナの種類

フレコンバッグには、用途に応じていくつかの種類があります。

ランニングI形: 繰り返し充填・排出が可能なタイプで、修理の際に母材強度と同等の強度を保持できる。
ランニングJ形: 耐候性、防水性に優れ、修理後もそれらの性能を維持できる。
クロススタンダード形: 数回または1年を限度として使用するタイプで、修理は不可。
クロスシングル形: 1回のみの充填を目的とした使い捨てタイプ。

国内メーカー

フレコンバッグの主な国内メーカーには、以下の企業があります。

株式会社光洋
堀富商工株式会社
有限会社盛和
株式会社シロ産業
王子製袋株式会社
日豊製袋工業株式会社
シバタ工業株式会社
株式会社ウインテックス
株式会社K,sインターナショナル
株式会社JFT

その他

周囲を金属製のケージで囲んだ折り畳み式の四角筒形状のコンテナは「ヘスコ防壁」と呼ばれ、主に軍事用途で陣地構築に使われます。

脚注

注釈

出典

関連項目

土嚢
袋タンク
樽
ドラム缶
パレット
輸送コンテナ

外部リンク

フレキシブルコンテナ - コトバンク
日本フレキシブルコンテナ工業会
Flexible Intermediate Bulk Container Association（FIBCA)（英語）
* Packaging — Flexible intermediate bulk containers (FIBCs) for non-dangerous goods（英語）

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