ブチコ

ブチコ：稀有な毛色と偉大な母系

ブチコ(Buchiko)は、2012年4月27日生まれの日本の競走馬、そして現在は繁殖牝馬です。その最大の特徴は、白毛の体に細かい鹿毛のまだら模様が入った、サラブレッドとしては非常に珍しい毛色です。この独特な容姿から、競馬ファンのみならず、多くの注目を集めました。まるでダルメシアンのようなその容姿は、競走成績以上に人々を惹きつけました。

ブチコの母はシラユキヒメで、その毛色は、KIT遺伝子の変異によるものです。ブチコも母から白毛遺伝を受け継ぎましたが、鹿毛のまだら模様は、部分的にKIT遺伝子が機能した結果と考えられています。脚はほぼ白毛、耳は鹿毛、たてがみは白毛と鹿毛が混ざり合うなど、複雑な毛色をしています。

シラユキヒメは、白毛遺伝を持つ馬を血統に含んでいないにも関わらず、ブチコを含む10頭の白毛馬を出産しました。ブチコには、中央競馬で白毛馬として初の勝利を挙げたホワイトベッセルや、関東オークスで白毛馬として初の重賞制覇を達成したユキチャンといった半兄姉もいます。これらの馬も、ブチコ同様に白毛の血を受け継いでいます。

競走馬としてのブチコ

ブチコは、競走馬登録時、登録可能な毛色の区分に「駁毛」がなかったため、白毛として登録されました。2014年10月25日にデビュー。芝のレースで勝ち星を挙げることができず、2歳シーズンは未勝利に終わりました。しかし、ダート路線に変更すると2連勝を収め、再び芝レースに挑戦。チューリップ賞では桜花賞出走権獲得に期待が集まりましたが、結果は14着と悔しい結果に終わりました。その後はダート競走に専念し、2016年には1000万下競走で勝利、オープン入りを果たしました。

しかし、ブチコはゲートでの問題を抱えていました。オープン入り後のマリーンカップでは、ゲート入り後に逸走し、競走除外。続く麦秋ステークスでもゲートをくぐって放馬し、負傷。これにより、ゲート難による出走停止処分を受け、引退を余儀なくされました。

ブチコのゲート難による競走除外は、莫大な払い戻し金を生みました。ファンにとっては残念な結果でしたが、ブチコの人気の高さを示す出来事でもありました。2015年6月からは、ブチコのグッズが全国の競馬場で販売されるなど、競走成績以上に人気を博しました。これは、当時二冠馬だったドゥラメンテですらストラップ程度しかグッズがなかったことを考えると、異例のことでした。

繁殖牝馬としての成功

引退後は繁殖牝馬となり、2018年産駒のソダシは、ブチコとは異なり、完全な白毛馬でした。ソダシは、白毛馬として初めて芝の新馬戦を制覇し、札幌2歳ステークスで白毛馬初の芝重賞勝利を挙げ、阪神ジュベナイルフィリーズでは史上初の白毛馬によるGI制覇を達成しました。さらに、桜花賞で白毛馬として初のクラシック制覇を成し遂げ、ブチコの名を歴史に刻みました。

2019年産駒のママコチャも、2023年のスプリンターズステークスでGI競走を制覇しました。ソダシとママコチャの活躍により、ブチコは再び脚光を浴びることとなりました。2021年には、「アイドルホースオーディション」にもランクインしましたが、ぬいぐるみ化は実現しませんでした。

ブチコは、その稀有な毛色と、GIホースを2頭も輩出した偉大な繁殖牝馬として、競馬史に名を残す存在となりました。その血統は、これからも白毛馬の歴史に大きな影響を与え続けることでしょう。 ブチコとその子孫の活躍は、競馬界に新たな感動と興奮をもたらし続けています。

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