ブルース

ブルース（Blues）

ブルースは、アメリカ合衆国の深南部でアフリカ系アメリカ人によって生まれた音楽ジャンルです。その起源は19世紀後半にさかのぼり、主に黒人霊歌や農作業の際の叫び声、労働歌から発展しました。ブルースは、主にギター伴奏の歌を中心に構成され、ジャズが楽器演奏を重視するのに対して、歌そのものが主役となることが特徴です。

ブルースは、悲しみや憂鬱といった感情が象徴的に「ブルー」と表現されることから名付けられました。しかし、ブルースはそれだけではなく、恋愛の喜び、社会問題、特に人種差別への抵抗感情など、幅広い感情を歌に込めています。音楽家のジョン・リー・フッカーは、「ブルースは私を幸せにする」と語り、ブルースが持つ多様性を示しています。ブルースは20世紀のポピュラー音楽に多大な影響を与え、特にジャズやロックンロールなど、その後の音楽ジャンルの土台となりました。

ブルースは基本的に12小節の形式で構成され、A・A・Bという形を取ります。これは具体的には、4小節の同じ歌詞を2回繰り返し、次に締めの内容を歌うというスタイルです。このように歌詞が身近な体験や感情を反映し、日常の幸せや憂鬱な瞬間を表現しています。アメリカ南部の黒人たちは楽器を手に入れる際にも困難があり、初期のブルースミュージシャンは捨てられた楽器を使って演奏することもありました。

また、ブルースは特有の音階である「ブルー・ノート・スケール」を用いて演奏されます。このスケールは、通常のメジャー・スケールに短3度と短7度を加えた音階で、ブルースの特質を際立たせます。ブルースの音楽スタイルには、繰り返しのリズムを用いたシャッフルやウォーキングベースがあり、これにより心地よいグルーヴが生まれます。このスタイルは、後の多くの音楽ジャンルで影響を与えています。

ブルースの歴史

ブルースの発展は、1900年代初頭にさかのぼります。1903年、ミシシッピ州のデルタ地帯にてW・C・ハンディが体験したブルースの生演奏がきっかけとなり、彼はブルースを楽譜として世に広めました。この年はブレイウンスの誕生年として知られ、2003年には米国議会によって「ブルースの年」として特別に記念されました。

1920年にメイミー・スミスが初めてブルースをレコーディングし、その曲が大ヒットしました。その後もブルースは多くのミュージシャンに影響を与え続け、1940年代から50年代にかけてシカゴやメンフィスにてエレクトリックバンドのブルースが現れ、シカゴ・ブルースと称されるスタイルが確立されました。マディ・ウォーターズなどの影響を受けたロックバンドも多く、後のロック音楽にも大きな影響を与えました。

日本でも1960年代にブルースが広まり、B.B.キングやスリーピー・ジョン・エスティスといったアーティストが来日しました。此の流れは日本独自のブルースシーンの形成へと繋がりました。中でも、有名なアーティストやバンドが数多く登場しています。

このように、ブルースはその歴史の中で多くの形態を取り、様々な感情や文化を反映しながら発展してきました。現在もなお、ブルースは音楽界で重要な位置を占め、多くのアーティストやリスナーに影響を与え続けています。

もう一度検索