ブルーダイヤモンド

ブルーダイヤモンド：日本のフェリーから世界へ羽ばたいた一隻

1990年7月23日、神戸～松山～大分航路に新たなフェリーが就航しました。その名も『ブルーダイヤモンド』。ダイヤモンドフェリーが運航するこの船は、既存の船舶の代替として新来島どっく大西工場で建造されました。快適な船旅を提供するため、設計段階から細部にわたる改良が施されました。

設計：進化した船体と充実の設備

『ブルーダイヤモンド』は、同社の既存船である『クイーンダイヤモンド』や『フェリーダイヤモンド』をベースに設計されましたが、単なる焼き直しではありません。特にAデッキの客室部分を後方に拡大することで、総トン数を増加。より多くの乗客を受け入れることができるようになりました。

さらに、ブリッジや煙突（ファンネル）のデザインを一新。船体デザインにおける洗練された技術と美意識が感じられます。また、機関についても新型を採用することで、航行性能の向上と効率化を図りました。

客室：上質な空間へのこだわり

船内のレイアウトは大幅に変更され、乗客の快適性を追求した設計となっています。特に客室はグレードアップが図られ、これまでにはなかった特等・一等のシングルルームが新設されました。上級クラスとして特別室も用意され、個室の数は大幅に増加。乗客は、自身のニーズに合った上質な空間で旅を楽しむことができました。

特別室には「アクアマリン」と「エメラルド」といった優雅な名前が付けられ、まさに特別なひとときを演出する空間であったと言えるでしょう。特等室には1名用と2名用の部屋が、一等室も1名用と4名用が用意されました。その他、二等寝台、特二等室、二等室と、幅広い価格帯の客室が用意され、様々なニーズに対応できる体制を整えていました。

船内設備：充実のサービス

船内には、乗客の快適な船旅をサポートする様々な設備が備え付けられていました。案内所では乗客からの問い合わせに対応し、エントランスではスムーズな乗船をサポート。レストランでは美味しい食事を提供し、売店では旅の思い出となるお土産を購入することができました。また、浴場も完備され、長旅の疲れを癒すことができました。

運航と引退、そして新たな航海へ

『ブルーダイヤモンド』は、長年にわたり神戸～松山～大分航路で活躍しました。しかし、2008年2月7日、航路の減便と新たな船舶の就航により、惜しまれつつも引退を迎えます。

引退後、『ブルーダイヤモンド』は海外に売却され、韓国のシーワールド高速フェリーで『QUEEN MARY』として、木浦～済州航路に就航しました。その後、2011年には『QUEEN』と改名され、フィリピンのネグロス・ナビゲーションに売却。『ST.MICHAEL ARCHANGEL』として、そして2GOブランドのもとで、新たな航海を続けています。

『ブルーダイヤモンド』は、日本のフェリーとして活躍した後、海外でその名を改めて活躍を続けました。その歴史は、日本の造船技術やフェリー事業の歴史、そして国際的な海運事業の繋がりを象徴する一つの物語として、これからも語り継がれることでしょう。

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