プルタミナ

プルタミナ：インドネシアを支えるエネルギー巨人の軌跡

プルタミナ（PT Pertamina）は、インドネシア共和国政府が株式を保有する国営の石油・天然ガス会社です。インドネシア最大のエネルギー企業として、国内の石油・天然ガスの探鉱・開発から精製、販売、輸出までを幅広く手掛けており、インドネシア経済において極めて重要な役割を担っています。

設立から現在まで：激動のエネルギー史

1957年、オランダから独立したインドネシアは、自国の石油・天然ガス資源の管理を強化する必要に迫られていました。この背景から、前身となる国営石油会社が設立され、後に数社の統合を経て、現在のプルタミナが1968年に誕生しました。創業当初からインドネシア軍との深い結びつきがあり、スハルト政権下では国家経済の成長を支える重要な存在となりました。

しかし、1970年代には石油ブームの終焉とともに経営危機に見舞われ、巨額の債務を抱える事態に陥ります。その後、政府の管理下で再建が進められ、1997年のアジア通貨危機を経て、独占的な地位を徐々に解消、2001年には株式会社化、2003年には国営株式会社（PT Pertamina (Persero)）へと組織変更されました。

2018年には、インドネシア国営ガス大手PT Perusahaan Gas Negara Tbkの株式の59.96％を取得し、正式に持株会社となりました。これは、インドネシアにおけるエネルギー事業におけるプルタミナの支配力を示す重要な出来事と言えます。

事業内容：多角的なエネルギー事業展開

プルタミナは、石油・天然ガスの探鉱・開発から精製、販売、輸出まで、サプライチェーン全体を網羅した事業展開を行っています。

上流事業: インドネシア各地に石油・天然ガス採掘施設を所有し、原油・天然ガスの生産、供給に携わっています。2017年の実績では、年間1億2472万バレルの原油と742億9100万立方フィートの天然ガスを生産しました。
中流・下流事業: 国内に6つの石油精製施設と5407箇所のガソリンスタンドを保有し、石油製品の精製・流通においても圧倒的なシェアを誇ります。また、液化天然ガス（LNG）の生産・販売にも積極的に取り組んでいます。特に、スラウェシ島に建設されたドンギ・スノロLNGプラントは、三菱商事、韓国ガス公社との共同事業として注目を集めています。
その他事業: 航空、ホテル、クラカタウ製鉄所などへの投資も行い、エネルギー事業以外にも事業を展開しています。

日本との関係：長年にわたる協力関係

日本は、プルタミナにとって歴史的に重要な取引相手国です。LNGなどの輸入を通じて、両国の経済関係は深く結びついています。

LNG事業: スラウェシ島のドンギ・スノロLNG基地プロジェクトには三菱商事と共同出資しています。また、東京ガスとの協力を進め、ジャワ島にLNG受入基地を建設する計画もありました。
製油所改修: JX日鉱日石エネルギーと製油所の改修計画の検討も行っています。
貿易: 1960-70年代には、対日石油販売窓口会社が設立され、現在もパシフィック・ペトロリアム・トレーディング株式会社（PPT）を通じて、日本との貿易関係を維持しています。

モータースポーツへの関与

プルタミナは、モータースポーツにも積極的に関与しています。ランボルギーニ・スクアドラ・コルセへの支援や、F1ドライバーであるリオ・ハリアントのスポンサーを務めるなど、企業イメージ向上にも努めています。

まとめ

プルタミナは、インドネシアのエネルギー安全保障の基盤であり、同国の経済発展を支える重要な企業です。歴史的背景、事業内容、日本との関係など多角的に理解することで、インドネシアという国の発展のダイナミズムを垣間見ることができます。今後も、インドネシア経済の成長に合わせ、さらなる発展が期待される企業です。

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