プーサン

プーサン

概要

『プーサン』は、横山泰三によって創作された日本の風刺漫画であり、1950年から1953年まで毎日新聞の夕刊に4コマ[[漫画]]として連載されていました。非常に人気を博していた本作ですが、連載は短期間で終了します。作品の主な理由は、横山がある幹部の度重なる描き直しの要求に嫌気が差し、出張先で思わず「やめます」と宣言したことにあります。この際、朝日新聞社の扇谷正造が近くにおり、その結果、横山は翌年から朝日新聞の『社会戯評』に移籍することになります。

『プーサン』は、1965年に週刊新潮で再開され、体裁は6コマに変わり、1989年まで連載が続きました。タイトルの「プーサン」には特に深い意味があるわけではなく、ただ面白さを感じた音の響きから選ばれたそうです。「パーサン」「ピーサン」など、候補の中から最も語呂が良いものが選ばれました。

当初のストーリーは、プーサンというキャラクターがさまざまな役柄に扮し、実際のニュースに基づいた出来事に関わるというものでした。プーサンは長い鼻と大きな丸い目を持つが、禿頭の無個性な外見であり、そのデザインについて中野好夫から指摘を受けた横山は、「線だけでやろうと思って」と答えたとされています。また、プーサンは横山によれば「読者一人一人なのさ」という役割も担っていました。鶴見俊輔はこれを「抽象的人物」と評し、戦後の日本漫画における重要な要素であるとしています。

連載が進むにつれ、プーサンの登場頻度は減少し、似顔絵で描かれた実在の人物や擬人化された概念（たとえば、目や鼻と手足を持つ富士山や、テレビの頭部を持つ人間など）が徐々に登場するようになりました。1954年には、横山がこの作品によって第2回菊池寛賞を受賞しました。

映画化

『プーサン』は、1953年に映画化され、市川崑が監督を務めました。この作品は、原作に同作者の『ミス・ガンコ』を加えて構成され、ストーリーはプーサンとミス・ガンコの恋愛を軸にしています。劇中における銀行のシーンは日本橋の日本銀行本店で実際にロケが行われました。

特筆すべきは、伊藤雄之助が演じる主役が血のメーデーに巻き込まれる描写の制作方法です。実際のニュース映像に新しく撮影した映像を組み合わせて作り上げられましたが、事件現場の皇居前広場での撮影が許可されず、東宝撮影所近くの馬事公苑で代替のロケが行われました。撮影には重量のあるミッチェルカメラが用いられ、現像時にフィルムの粒子を荒くすることでニュース映像と同じ質感に仕上げる工夫がなされました。

スタッフとキャスト

映画の製作には藤本真澄が関与し、脚本は和田夏十が担当。また、撮影や美術、音楽なども多彩なスタッフが集結し、本作を支えています。キャストには伊藤雄之助や越路吹雪、杉葉子などが名を連ねています。

特別出演として、横山泰三や兄の横山隆一も出演しています。映画『プーサン』は、あえてコミカルでありながら時代の風刺を忘れない作品として残っています。加えて、ビデオソフトとしてもリリースされており、多くの人に親しまれ続けています。

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